内容説明
平城京にはどんな人がどこに住んでいたのか。長屋王邸などの発掘成果を駆使し、宅地の規模や構造から相続問題まで住宅事情に迫る。身分が高いほど一等地を与えられたとされる通説を見直し、当時の社会構造にまで言及。
目次
平城京の住人―プロローグ
平城京に家をもつ人々(長屋王邸跡の発掘調査が語るもの;平城京に住んだ人々;舎人親王の邸宅)
平城京の宅地は相続されたのか(奈良時代の遺産相続;遺産相続問題;藤原氏の邸宅)
発掘された平城京の宅地(宅地の規模;宅地の構造;平城京の造営と河川整備)
平城京の宅地と居住者を考える(平城京の宅地を理解するための仮説;宮殿建設用地と宮周辺の宅地;大伴氏の邸宅;平城京の宅地の実際)
平城京の宅地が語るもの―エピローグ
著者等紹介
近江俊秀[オオミトシヒデ]
1966年、宮城県に生まれる。1988年、奈良大学文学部文化財学科卒業。奈良県立橿原考古学研究所主任研究員を経て現在、文化庁文化財部記念物課埋蔵文化財部門に勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アメヲトコ
5
「平城京では高位の貴族ほど宮に近く広い宅地を班給される」という通説に対し、その原則におさまらない宅地政策のありようを考古学の立場から考察したもの。当時の土地に対する観念とか、相続のありようとか、古代の氏族制とその解体とか、宅地を通して浮かび上がる世界がとても面白いです。2015/06/04
wang
2
碁盤の目のような整然とした条坊制の都市計画で建設された都市、平城京。だが、その都市で誰がどこに住みどういう住宅を建てたのかなど具体的なことはあまり知られていない。文献資料や発掘調査などでわかってきたことをつなぎ合わせた現在知ることのできる姿がここにある。主に長屋王邸跡を中心とするが、最初にどのように配給されたのか。先住民への補償は?死後の相続はどうか。売買できたのか?など具体的な事例を交えて書かれていて理解しやすい。不明点も多いが、氏族制から官僚による律令国家への端境期の一端がわかる。2017/06/12
Go Extreme
1
長屋王邸跡:発掘の意義 木簡出土 生活様式 経済活動 商業記録 宅地配置の新発見:官邸と私邸 道路区画 瓦出土 建築格式 庭園遺構 奈良時代の相続:財産管理 相続規定 養老令 配偶者庶子権利 官位相続 宮殿建設の背景:宮周辺宅地再編 氏族社会変化 律令制移行 土地補償 工事計画 高位人物の住居:邸宅配置 宅地付与 官邸転用 社会構造変化 住居変遷 平城京住民の多様性:住民構成 社会的地位 氏族影響 家庭権力 移住政策 都市計画と河川整備: 治水対策 水利管理 水路設計 住民生活影響 灌漑技術2025/02/18