内容説明
富士山噴火・養和の大飢饉・明暦の大火・関東大震災など、人びとは災害をどう乗り越えてきたのか。古記録などにみえる被災の実態について、復興に焦点をあてて描く。過去の経験が指し示す、防災・減災への手掛かりとは。
目次
古代の災害復興―自力再建の時代(古代の巨大地震;噴火災害の実態;風水害を生きぬく;疫病の蔓延;旱魃・飢饉・大火)
中世災害と被災者たち(中世の大地震;中世の大火;大飢饉の実態;風水害・疫病)
近世の復興を支えた人々(近世を襲った大地震;噴火災害と人々;三大飢饉;江戸の三大火)
濃尾地震から阪神・淡路大震災へ(濃尾地震;三陸地震津波;関東大震災;阪神・淡路大震災)
著者等紹介
安田政彦[ヤスダマサヒコ]
1958年、石川県に生まれる。1985年、関西学院大学大学院博士課程後期課程単位取得退学。現在、帝塚山学院大学リベラルアーツ学部教授(博士)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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白玉あずき
10
飢饉、大地震、疫病、噴火災害等々、範囲が広すぎてそれぞれの内容は薄い。しかし! 火山噴火について興味がわいて、発展的学習につながったことが大収穫。「破局噴火」→「トバ・カタストロフ理論」まで芋蔓で広がったところで収拾がつかなくなった・・・ 怖い こわすぎ。 「火山から半径1,000km以内に住む90%の人が火山灰で窒息死・・・」(引用:Wiki 破局噴火)とか、なにそれ。一度文明がリセットされるほどの大災害ってSFなら面白いかもしれないが、絶対に体験したくない。リスク分散の点からも、東京一極集中には反対。2015/10/01
邑尾端子
7
災害復興に関して、史料が多くなるのはせいぜい江戸時代からであり、古代~中世までは(京の重要施設等を除いては)あまりみられない。 施政者たちの興味は、災害の原因と考えられていた神の怒りを鎮めること(祭祀、貢納)に主に注がれていた。 古代社会において、地方で地震が発生するとその地の国司の責任になったというのがなんとも前代的理不尽さで興味深い。 自力救済社会において被災した庶民達は、時に土地を捨て逃散し、時に家族や自らを売って命を繋ぐ。復興という概念すら未確立であったように思う。2016/04/28
mimm
4
古代から近代(阪神・淡路大震災)までの災害、地震・噴火・風水害・疫病・飢饉・大火等々の発生と、その復興まで。 古いものは文献が少なく、庶民の姿は見つけにくいものの、往々にしてヤバイレベルの災害に見舞われて屍の山です。 現代でも富士山噴火と大地震のセット災害が来たら、復興にどれほど時間のかかるのやら。経済、社会のシステムも複雑になっており、運良く生き延びられたとしてもその後が怖いかも。 この本からどれだけの備えができるのか。まず個人レベルではどうにもならないので、ご近所つきあいから…って、間に合うかな。2017/06/05
Nunokawa Takaki
2
昔から日本の歴史は災害と共にあったと言っても過言ではない。どれも「大変だった」の一言では片付けられないほど凄惨なものだが、その度に人々は立ち上がってそれに向き合い、対処してきた。我々現代人の中にもそのDNAは受け継がれているはずだ。この本では大昔から今に至るまでの間に起きた災害と、それに対してどのような復興が行われて来たのか書かれている。客観的に書かれているので物語性はない。しかし災害国日本に住んでいる以上このような知識は持っておかねばならない。読めば自ずと先人たちを尊敬できるはずだ。2014/09/21
mimm
2
地震を中心に噴火・風水害・疫病・旱魃飢饉大火などの災害を、史料の残る天武七年地震から近現代の阪神大震災まで、その被害規模から復旧・復興の状態を記した一冊です。特に古代の災害は史料が乏しいけど、被害状況はまた恐ろしい死体の山々。物凄い規模の地震や噴火が今来たら、どうなっちゃうんだろう。どうしようもないね!そう思うしかないよね。と、そんな感想。いや凄まじい。ついでに3.11以降に書かれています。この本。2013/05/23