出版社内容情報
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内容説明
邪馬台国論争を解決する鍵は何か。『記紀』を丹念に読み解き、邪馬台国の位置が九州北部であったことを論証。大和政権が邪馬台国を滅ぼし、どのように全国を統一したのか、その真実に迫り、新たな古代史像を描きだす。
目次
邪馬台国と大和政権―プロローグ
倭国と邪馬台国
大和王権の発展
大和政権の起源
邪馬台国の滅亡
大和政権と征服の思想―エピローグ
著者等紹介
若井敏明[ワカイトシアキ]
1958年、奈良県に生まれる。1981年、大阪大学文学部国史学科卒業。1987年、関西大学大学院博士後期課程単位修得。現在、関西大学・佛教大学等非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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筑紫の國造
6
「邪馬台国北九州説」を主に古事記、日本書紀の記述から論証し、その滅亡過程までを辿ってゆく。邪馬台国がどこにあるか、というのは日本史でも最もホットで一般にも膾炙した話題だろう。著者は考古学偏重による邪馬台国論争に警鐘を鳴らし、記紀の記述が考古学の成果からも相当程度裏付けられている事からこの二つの史書をもとに邪馬台国の位置を北九州と比定する。その論理は明解かつ魅力的だが、いささか独断的ではないかとの印象も受ける。しかし、記紀の記述を丁寧に読み解いていく姿勢を改めて打ち出した意味は小さくないだろう。 2022/05/09
邑尾端子
6
邪馬台国はいつ・どこで・なぜ消えたのか、という古代史最大の謎を大和王権の史書である記紀から読み解いていこうという趣旨の一冊。邪馬台国と大和王権は同じ時代に併存していた別の勢力である、という主張には納得できるところも多いのだが、「そんなに記紀を信じて大丈夫か?」という一抹の不安もちらつく2014/08/12
Junko Yamamoto
5
記紀を丁寧に読み解き、大和政権の統一を描く。その時系列の流れは正しいと思うものの大和が「征服」によってそれを達成したということは間違っている。大和政権は「共立」王権であり専制ではない。各国の資源、特に鉄器や海外威信財を分配する調整役のような立場だ。ただ、邪馬台国北九州説の最大の欠点は卑弥呼の墳墓が見つかっていないこと。2017/03/12
讃壽鐵朗
4
これまで飽きるほど読んできて邪馬台国論争が、著者の大和政権による九州倭国征服論で実に明快に解決されたと感じた。さらに、大和政権が九州から東征してきた複数の豪族により成立したという説も説得力がある。 しかし、記紀を殆ど事実の列記だとして持論を展開していく方法に、はたして現在の古代史専門学者が納得しているのかは疑問だ。ともあれ、暫くぶりに新鮮な古代史論を読んだ。2021/11/02
inaryoXD11
4
ちょっと前の本ですが、最近まであまり見ない切り口の邪馬台国の位置と滅亡に至るプロセスで、面白かった。邪馬台国と大和政権(大和王権)が並列して存在し、記紀 (さらに朝鮮史書) の記述から、発生から滅亡までがどの年代で起きたことなのかを推定している。説明が足りていないところ(著者による飛躍と思われるところ)が一か所あったけど、非常に簡潔でわかりやすく、なぜこのような読み方が主流にならないのか、それは冒頭で述べられている古代史学会での邪馬台国や記紀の扱いによるものだけなのか、別に利害関係があるのか…。2021/06/20