出版社内容情報
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内容説明
大名行列を支えたのは「渡り者」と呼ばれる派遣・アルバイトだった。やがて彼らは「がさつ」な振る舞いで格差社会に立ち向かう…。泰平の世に武威を示すはずだった大名行列の実態にメスを入れ、近世武家政権の矛盾を暴く。
目次
浮世絵に描かれた大名行列―プロローグ
大名行列はなぜ長い―武家の行列の構造
武家は奉公人に支えられた―近世前期の幕臣と一季居奉公人
江戸にも人材派遣があった―人宿の展開と欠落する奉公人
行列を飾るがさつな供廻り―供廻りの放埒と大名格式の混乱
がさつが止まらない―武家を無視した供廻りと役人の癒着
華美になり消えていく―エピローグ
著者等紹介
根岸茂夫[ネギシシゲオ]
1951年、東京都に生まれる。1979年、国学院大学大学院文学研究科日本史学専攻博士課程修了。現在、国学院大学文学部教授、博士(歴史学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あーさん☆GWは墓参りをハシゴしました。暑くてバテました。
70
2009年発行。東京都生まれ。國學院大學大学院文学研究科日本史学専攻博士課程修了。大名行列の長さと並び方、配置が分かる。写真付き。写真や絵が多いから堅苦しくない。中学生でも読めそうだけれども、やはり、堅苦しい本。歴史好きにはたまらん本。2019/07/20
くまくま
5
大名行列の構成は日雇い労働者が多くを占めている。彼らは地方の者も少なくなく、江戸が当時世界最大の人口を誇った一因ともなった。また、日雇いや派遣労働といった雇用の不安定さは困窮する人々を生み、社会不安にもつながった。江戸時代の話だが現代でも似たような状況があることに歴史の面白さを感じる。現代の問題は笑えないくらい深刻だけれども…2020/01/05
ずしょのかみ
4
本書は武家社会の構造をとくに日雇いの存在から眺めて、近世封建体制の弱体化を俯瞰している。武家は軍事組織として多数の家来を従属させていたが、その中には直参ではない、アルバイトの武士も多く含まれていた。彼らは主従関係を蔑ろにするようながさつな振る舞いを行いしばしば問題となったが、このような振る舞いは主従関係を基調とした武家社会の論理を後退させていった。その最たる例が主従関係に基づく軍事組織の現象であるところの大名行列における、日雇いたちのがさつな行動であった。2020/09/11
庄屋之者
3
江戸時代の大名行列は単なる儀礼にしか過ぎないものであったために、人手不足に陥った主人は奉公人を多用した。奉公人は江戸市中で様々な放埒な行為に及び、町奉行は幾度となく触書を出すが目立った効果は見られず、幕末に近代的軍制が敷かれるまで続いた。奉公人の大多数が地方出身者であったことからも彼らが貧乏人であるように感じるが、一部では豪華な生活が送られていたことに驚いた。2020/10/19
伊達者
2
大名行列を絵画などを基に分析しつつ,江戸武家社会の変質を追求した本である。2023/01/29