歴史文化ライブラリー
昭和を騒がせた漢字たち―当用漢字の事件簿

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  • サイズ B6判/ページ数 202p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784642056410
  • NDC分類 811.27
  • Cコード C0320

内容説明

1946年、「当用漢字」が制定された。漢字の使用が制限されたとき、国民の生活には何が起こったのか。「福井県」が「福丼県」だと怒鳴り込む人、彫刻掘りなおし裁判などの事件をたどりつつ、戦後日本の世相を読み直す。

目次

八紘一宇をめぐって―プロローグ
新しい時代とともに―一九四〇、五〇年代の漢字事件(『青い山脈』の恋;新聞題字問題;郵政省改名騒動)
変わりゆく社会の中で―一九六〇年代の漢字事件(新宮の命名をめぐって;記号式投票と狭山事件;誤字を理由に解雇できるか)
拡大する自由の行方―一九七〇年代の漢字事件(水俣病患者たちのうらみ;たばこ「おおぞら」の物語;「よい子の像」碑文裁判)
自由と平等の相克―エピローグ

著者等紹介

円満字二郎[エンマンジジロウ]
1967年、兵庫県に生まれる。1991年、東京大学文学部東洋史学科卒業。現在、漢和辞典編集者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

wang

3
漢字の存在は日本人の学習にマイナスという考えから戦後、当用漢字が生まれた。漢字の形を簡略にし使える漢字を1850字に制限。そこから色々の問題が生まれる。表にない漢字を使うなという声、字形の揺らぎに対する不寛容、さらにハネや棒が突き抜けるかどうかなど些細な問題にまで標準字形と違うと非難の声が上がる。逓信省の名称復活に組織改革の内容そっちのけで復古主義と反対キャンペーンを打ったり、「宙」に「おおぞら」と読ませるパッケージを作り直せと大合唱は今となっては考えられない笑い話。かといって標準字形がないと困るし…。2018/01/23

のぶさん

3
書名のとおり、当用漢字が絡む社会的事件を紹介する。青い山脈の「恋」、新聞の題字「新」、今の皇太子の命名、水俣病訴訟の旗頭「怨」、そして昨今のささいな字体の差異に対する非許容(跳ねないといけないとか、突き出してはいけないとか)。など。当用漢字は、漢字数の多さが国民の知的格差の原因だという考えから文字を制限するために作られた。しかし漢字はそれ自身意味を持つ故に、文字への制約は表現者の自由への制約となる。いろいろな社会的事件は結局、その時々の時代を背景に、制限(平等)と自由のバトルだというのが著者の主張だった。2013/02/12

kenitirokikuti

2
昭和中期までの「活字」があった頃のエピソードかいろいろ開示される。もうデジタル時代さえ深くなったため、「教養のない部落民が誤字当て字だらけの(脅迫)文を書く」ところで息を飲んだ。そういうことをひさびさに思い出したというべきか。識字の問題は形を変えて、いまここにもあるのだ。忘れないようにしよう2016/06/11

ハゲ

2
当用漢字にはそんな意味があったのか~と歴史に納得。考えてみれば昔の書物はホントに読めないもんね。笑い話でよくネタにされる「変」と「恋」の元ネタが「青い山脈」というのも知らなかった。一度も映画みたことないもんな~。2012/03/20

カミブクロ

1
普通2016/04/19

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