内容説明
文字を持たなかった日本人は、漢字を借りて自らの言葉を表記すべく試行錯誤・悪戦苦闘した。木簡や鉄剣銘文、『万葉集』等を読み解き、漢字伝来から万葉仮名を経て平仮名・片仮名の成立まで、日本語表記の変遷を再現。
目次
日本語の原風景(日本への漢字伝来;音仮名による音節表記)
黎明期の和文(和文の成立;音訓の交用)
日本語表記の展開(七世紀後半における散文の和文表記;歌の文字化;万葉仮名文から仮名文へ)
著者等紹介
沖森卓也[オキモリタクヤ]
1952年、三重県に生まれる。1977年、東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、立教大学文学部教授、博士(文学)
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感想・レビュー
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take5
14
文字の無かった日本語(=話し言葉だけ)を漢字で表記するようになる歴史的変遷を出土した鉄剣の銘や木簡、仏像の銘、記紀と万葉集(万葉仮名などの漢字表記の原文)などを手がかりに解明していく、一応一般読者向けだがかなり専門的な本(音韻論や文法などよく理解できてない部分あり)ですが、それでも人麻呂&古代史ファンの私には非常に刺激的な考察や推論、指摘が多く大変面白かったです(時代的には古墳時代~奈良時代で、普通は「争乱を経て律令国家へ」という認識ですが、その裏側で日本語の表記という文化的革命も進行してたことを知る)。2019/01/23
月をみるもの
9
本書を読み、空港や大学に平成自由詩 ( https://togetter.com/li/1078209 ) が刻まれる我らが郷土こそ、次代の日本語の揺籃の地であることに自信を深めた。。暴走万葉仮名〜キラキラネームの子供の数も、きっと圧倒的に多い、、、ような気がする。。 https://www.news-postseven.com/archives/20180702_711298.html/22019/05/04
びっぐすとん
4
図書館本。文字が日本に入ってきて以来、日本語をどう漢字で表記したのかという変遷がかなり専門的に説明されていて勉強になった。中国だけでなく朝鮮半島での漢字表記をも参考に、日本語の中に取り込まれていく過程がよくわかった。一口に万葉仮名と呼んでいるものにも時期によって違いがあることなどは初めて知った。文字があったことで当時の発音もわかるし、ひらがな・カタカナも生まれたわけだし、漢字を採用した当時の日本人に感謝。2016/07/23
けふたろ
3
易しく説かれてはいるが、中々理論的な内容が充実していると感じた。漢字による日本語表記はいわば「当て字」のようなものであり、発音の差異を解消しようとしたり、或いは上手く利用しながら自分たちの言葉を文字にしようとした様子は興味深い。また、その中でも古人は漢字のもっているニュアンスを活かそうとしたり、当て字の中で縁語を用いてみるなどの言葉遊びを行っていた辺りに、当然であるが我々とあまり変わらない人間がそこにいたことを感じた気がする。2014/08/30
wang
3
実例を元に日本語の文字表記の歴史を確認していく。漢文、固有名詞の漢字表記、音仮名・二合仮名・連合仮名・略音仮名、訓の成立、訓仮名、漢字表記和文、宣命大書体、宣命小書体、万葉仮名まで。2009/05/02
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