内容説明
幕末、尊皇攘夷の国体論を打ち立てた水戸学。会沢正志斎・藤田東湖らの思想と行動、その影響下にあった吉田松陰・横井小楠に迫る。明治維新の思想的推進力となり、近代天皇制イデオロギーとなった水戸学を問い直す。
目次
水戸学はどのようにとらえられてきたか―プロローグ
寛政期からの始動
会沢正志斎と「新論」
天保改革
藤田東湖と「弘道館記述義」
幕末の水戸藩
水戸学の影響
水戸学が問いかけること―エピローグ
著者等紹介
吉田俊純[ヨシダトシズミ]
1946年、東京に生まれる。1971年、横浜市立大学文理学部卒業。1974年、東京教育大学大学院文学研究科修士課程修了。現在、東京家政学院筑波女子大学国際学部教授
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感想・レビュー
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月をみるもの
7
「尊皇攘夷」という思想がどこから湧いてきたのかをたどっていくと黄門様につきあたり、水戸出身の慶喜くんが大政奉還して、むしろ積極的に幕府を崩壊させたのは必然の帰結であったと思えてくる。2017/06/04
きさらぎ
4
(いわゆる)「後期水戸学」についての本。立原翠軒、藤田幽谷・東湖、会沢正志斎等を取り上げて藩史と共に記述し、更に巻末で吉田松陰と横井小楠を取り上げる。水戸藩・水戸学についてはほとんど知識がないので、勉強にはなった。具体的に批判できるような知識も見識もないし、概説故にやむを得ないのかもしれないのだが、やや掘り下げが「浅い」のではないかなあ、という印象を持ってしまった。儒学も水戸学も幕末史も。氏が、割と短い引用で見解を断定的に出してくる書き方のせいだろうか。氏の「学術書」をきちんと読むべきなのかもしれない。2015/11/08
ちゅう
3
水戸学、まだまだどういったものなのか、よくわからない。読んだ人の解釈によって、正しく伝わってない部分もあるようだから、私に理解できてないのも、仕方ないのかもしれない。その上での浅はかな考えで言わせてもらえば、尊王と強く言えば、倒幕?っておもうよねえ。 今まで、斉昭いい人!って思っていたけど、最近見方が変わった。2024/09/03
rbyawa
3
g100、教育勅語を実際のその後の歴史を念頭に置いて読むと確かにぞっとする部分もあるし、それが水戸学から現れたものであるというのも確かに否定しようがないものの、うーん、水戸学にその責任を負わせてしまうのはどうなのかな、と私の世代から見ると思えるかな。著者さんとも多分意見が近い、臭い物に蓋をしているような気がするというのに同意。本は藤田東湖を中心に進んでいくんですがこの人物はなぜか水戸学の重要人物だと思われていなかったともあり、いろいろ謎の展開。東湖さんは理論よりも実践の人で、誠意ある人だったみたいだよね。2016/10/24
Mm
3
明治の尊皇思想がどのようにしてうまれたか、その一部を水戸学を通して知れた。思想というものは時として武力や権力よりもこわいものだ。相反する思想を忌避せず、なぜそう考えるのか理解する姿勢は大事だと思った。2015/10/04
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