内容説明
人権思想の成立を近代ヨーロッパに求め、アジアでの展開など、「生きる権利」を世界史の中に探る。植民地・女性問題などで、絶えず人権がふみにじられてきたことを通し、人権は「終わりなき旅」であることを宣言する。
目次
人権思想の成立(生きる権利;身分制社会とのたたかい ほか)
裏切られた人権宣言(「人権宣言」の批判者たち;植民地と人権 ほか)
近世アジアと人権思想(中国の近世思想;朱子学への批判者たち ほか)
人権思想の展開(自由権から社会権へ;人民の自決権 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
20
ルソー『政治経済論』では、国家のなかで恣意的な権力を防ぎ、生命・自由・財産という基本的な権利を守る道がしめされる(46頁)。安倍自公政権は、安保法制で恣意的な権力を行使してしまった。自由とか生命は守られるのか? ヨーロッパの人権思想が普遍性をもつのなら、地域の歴史的な発展のなかから人権思想につながるものを見出す必要がある(117頁)。坂本義和氏は、相対化しきれないのは人間の尊厳と平等な権利をあげた(118頁)。中国のルソーは黄宗羲(128頁~)。2015/10/03
ハンギ
1
イギリス思想史が専門である浜林さんが人権に関してまとめたもの。基本的なことについて触れられており、また特にイギリス思想のところは得るところがあった。浜林さんによると人権とは洋の東西を問わず、普遍的なものであり、生命・自由・財産に対する権利であるとしている。ともすればこうしたものにすら譲歩を迫られる一般人ではあるが、不断の努力で維持して行きたいと誰もが思うものである。植民地や戦争、人種差別に対する批判はその通りだと思うが、新しい人権についてはあまり扱われていない。良くも悪くも古典的な労作かもしれない。2011/08/21