内容説明
日本の近代化の中で、なぜ真宗門徒は苦しさに耐える倫理を持ちえたか、その信仰と生活の面から追究。正直・勤勉を旨とする熱心な真宗門徒の実態を歴史学・社会学・民俗学の方法で明らかにし、宗教社会史を提唱する。
目次
真宗門徒の徳目
世俗倫理のとりこみ
他力と自力の統合
門徒の信仰
門徒の倫理・エートス
門徒の地帯性
堕胎・間引きの忌避
殺生忌避の精神的基礎
出稼ぎの諸相
真宗地帯と売薬行商〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
8
主に江戸時代の浄土真宗が民衆の社会意識に対して及ぼした影響について論じた一冊。特定の地域の人間に見られる我慢強いとかの特質にはむろん他にも理由はあるのだろうが、その一端に真宗の影響がこれほど見られるのは興味深い。しかし真宗といえば一番個人的な教えだと思っていたんだけど。北海道や海外の移民の宗教意識にも触れられており興味深かった。2011/10/02
やまだてつひと
2
「宗教の経済的社会化」の序列は 教義ー信仰ー倫理ーエートスー社会・経済活動というのが印象的だった。浄土真宗の教えと人口推移について文章は、自分の中で今まで全く関係している話ではなかったので興味深かった。間引きなど今ではないような慣習もまた、浄土真宗をよく信仰している地域とそうではない地域で違いが出るというのも面白かった。 教義が人のエートスに影響を与えるというのは当たり前だが、統計的な数値としてでると説得力が違うなと改めて実感した2024/05/28
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