内容説明
日本はなぜ太平洋戦争に負けたのか。その原因は明治以来の軍備拡張の歴史のなかにあった。近代日本の戦略構想や兵器開発の矛盾、軍組織の特徴などから、軍拡の恐怖と軍備コントロールの重要性を明らかにする。
目次
日露戦争と日本の軍事力
建艦競争の時代と日本の軍事力
軍縮期の日本の軍事力
軍拡・戦争期の日本の軍事力
戦前期の日本軍事力の崩壊
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nnpusnsn1945
40
明治維新から敗戦までの陸海軍戦備について記しているが、特に海軍の艦船について詳しく、航空兵力は陸海軍ともに解説している。陸軍戦備の記述は歩兵中心だが、実際歴史的にそうだったのだから間違いない。日露戦争以来の白兵突撃に頼りきりのようだ。2021/03/13
hurosinki
3
「軍による安全」の追求と蹉跌。膨大なデータを纏めた労作で、海軍軍事史の入門書としてはシンプルで良いと思うが、陸軍の記述が非常に雑。作者が後書きで認めるように航空部隊についての記述は特にアレで、対ソ戦備としての航空撃滅戦構想や陸軍航空部隊が大拡張された件などの記述はほぼない。日露戦争以降の歩兵中心主義と大艦巨砲主義の確立のインパクトを強調し、大艦巨砲主義に基づく軍拡の行き詰まりが反動で航空主兵主義を生み、それがリスキーな先制打撃戦略を選択させたとのこと。2020/08/01
でん
2
期待していた以上にいい本だった。特に海軍史としては非常に分かりやすく、興味深い内容が多かった。しかし、航空主兵論を主張し始めたあとの艦隊派のみなさんはどこにいってしまったのだろうか…。下手に平沼内閣運動とかしなければ、艦隊派支配が続いてもう少し航空が主流になったのではないか、と思ってしまう。2014/11/16
ワッキー提督
2
所々微妙な個所もあったが、大枠として流れをつかむには良い。2013/09/21
Naoya Sugitani
1
軍事史研究の基礎的入門書として最適。軍艦や航空機、歩兵といった軍備がどのように展開されていったかを詳述していいる。戦間期の軍事構想については片山杜秀『未完のファシズム』もあわせて参照するといいだろう。2017/10/21