内容説明
江戸時代は旅の時代だった。旅の風俗や習慣、街道や宿場の光景、道中で出会う危険や怪異など、さまざまな旅と旅人の世界を通して、定住社会といわれる江戸時代を見直し、そこに生きた人びとの等身大の歴史を描き出す。
目次
旅の環境
移動・移住と旅
遍歴旅人と女性・逃亡者の旅
旅と権威・神仏・動物
旅の儀礼・差別と死・性
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やまだてつひと
3
道が整備され、安全に旅が出来るようになると旅人が増えていく。こう書くと当たり前の事かもしれない。 私が思っているより、気軽に藩を超えて旅を出来る事には驚いた。 旅人は犯罪者も多いので忌避される存在ではあったが、算盤が出来る人は、重宝され村人達から歓迎された。現代では旅行先に行くことで「金を落とす」と言って消費する人がいるが、旅人に益があれば歓迎される不利益があれば忌避される。その不利益は村の慣習と違う物であったりするのだが、こう言う流れがあったからこそ「郷に入れば郷に従え」という諺できたのかもしれない。2024/05/13
takao
3
ふむ2024/04/07
印度 洋一郎
2
定住の時代だったはずの江戸時代の"旅"に着目した内容だが、いわゆる旅行だけでは無く、越訴(藩の領民が行う幕府への直訴)、出稼ぎ、武者修行、巡礼など、人々の移動を幅広く網羅する。道路網や宿場制度の整備によって、日本全土を安全に人々が移動することにより、全国的に情報が流通するようになる効果があった。特に、享保以降に伊勢参りに代表される遊山旅が盛んになったことが大きい。この他、漂白する人々(旅芸人や生活困窮者)、寺社の御神体や御本尊の出開帳(出張ライブみたいなもの)など、江戸の移動する人々の実態を紹介している。2011/10/05