出版社内容情報
鎌倉時代前期の有力御家人。父義澄と平家追討や奥州合戦を転戦。家督を継ぐと鎌倉での政争や将軍実朝暗殺、承久の乱を北条氏と共に乗り越える。北条義時・政子の死後、執権泰時と協調して新体制を支え、朝幕関係の要として朝廷や貴族からも頼りにされた。『吾妻鏡』などに史料批判を加え、文化財や三浦半島の史蹟に触れつつ、義村の実像に迫る。
内容説明
鎌倉時代前期の有力御家人。父義澄と平家追討や奥州合戦を転戦。家督を継ぐと鎌倉での政争や将軍実朝暗殺、承久の乱を北条氏と共に乗り越える。北条義時・政子の死後、執権泰時と協調して新体制を支え、朝幕関係の要として朝廷や貴族からも頼りにされた。『吾妻鏡』などに史料批判を加え、文化財や三浦半島の史蹟に触れつつ、義村の実像に迫る。
目次
第1 義村の誕生
第2 若き日の義村
第3 宿老への道
第4 義村の八難六奇
第5 最期の輝き
第6 義村の妻子と所領・邸宅・所職、関係文化財
著者等紹介
高橋秀樹[タカハシヒデキ]
1964年神奈川県生まれ。現在、國學院大學文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ジュンジュン
13
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で山本耕史が演じたことで、注目された三浦義村。あれから2年、時機を逸した感はあるものの、こうして単独本が出るのは大河のおかげ。さて、義村のイメージは、ドラマでは義時(小栗旬)の盟友、歴史的には権謀術数に長けた策謀家、この辺だろう。だが、著者の見解は違う。厳正な史料批判を経て抽出した姿は、身分や秩序を重んじ、礼をわきまえた人物。歴代トップから信頼され、御家人筆頭として幕府を支える。さらに朝廷からも頼られる存在。とはいえ、本書からは史料的制約から復元の限界も感じる。2024/02/29
MUNEKAZ
12
小説や大河ドラマから想起される、三浦義村のダーティーイメージを覆す一冊。将軍への奉公に努め、北条氏とも波風を立てず、朝廷にも信頼される人物として義村を描く。『吾妻鏡』で言及されることが少ないのも、そもそも問題を起こさず粛清されなかったからと理由づけるように、万事そつのない姿が印象に残る。また源実朝暗殺の黒幕を義村に求める説は明確に否定しており、公暁と義村の関係はむしろ希薄であったとする。エンタメ的には面白くないが、北条氏と並ぶ御家人の第一人者であるには、このくらいの器量が必要ということであろう。2024/04/12
フランソワーズ
4
「三浦犬は友をくらふなり」という逸話が残る義村。しかし、祖父義明、父義澄が持っていた”東夷の野鄙さ(良くも悪くも)”とは異なる、大変思慮深い人物に映る。鎌倉殿を支える北条氏に次ぐ”No.2”として、身に過ぎる欲を出さず、かといって誇りは捨てない、分を弁えた義村。彼の死後、その義村の慎重さを継がなかった一族が結局北条氏によって族滅させられるのも分かる気がします(幕府創業を共になした世代ではなくなったことも大きいが)。2024/05/10