出版社内容情報
安房・上総を基盤に里見氏の最盛期を築いた戦国大名。庶家に生まれながらも、一族の内乱に勝利し家督を継ぐ。房総の交通・経済の要衝久留里城を本拠に、上杉謙信と連携して江戸湾をめぐり北条氏と対立。下総香取海へも侵攻し、東国の水運掌握を目指した。限られた史料をいかし、「関東無双の大将」「仁徳の武将」と呼ばれたその軌跡と人物像に迫る。
内容説明
安房・上総を基盤に里見氏の最盛期を築いた戦国大名。庶家に生まれながらも、一族の内乱に勝利し家督を継ぐ。房総の交通・経済の要衝久留里城を本拠に、上杉謙信と連携して江戸湾をめぐり北条氏と対立。下総香取海へも侵攻し、東国の水運掌握を目指した。限られた史料をいかし、「関東無双の大将」「仁徳の武将」と呼ばれたその軌跡と人物像に迫る。
目次
義堯の誕生と房総里見氏
天文の内乱と義堯の登場
政権確立と復興
小弓公方の滅亡と北条氏
江戸湾周辺に生きる人々
上杉謙信の越山と反転攻勢
第二次国府台合戦
混沌とする関東の争乱
策謀渦巻く関東情勢
義堯の死とその影響
その後の里見氏
著者等紹介
滝川恒昭[タキガワツネアキ]
1956年千葉県生まれ。1999年國學院大學大学院博士課程前期修了。千葉県公立高等学校教員を経て、現在、千葉経済大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MUNEKAZ
13
房総の戦国大名の評伝。謎に満ちた義堯以前の里見氏の動向や、後継者の義弘・義頼らのことも描くなど、後期里見氏の通史としても読める。下克上で宗家を滅ぼし、一代で版図を広げるという戦国大名の典型のような生涯だが、仏僧との交流から統治者としての苦悩も描くことで、なかなか味わい深い読み物になっている。江戸湾を巡る北条氏との攻防もそうだが、イケイケのころは下総の香取海まで手に入れようとするなど、水運の支配を重視した動きが面白い。また後代まで里見氏を縛った関東公方の権威や、上杉謙信との微妙な距離感も印象的であった。2022/11/02
フランソワーズ
4
古河公方、小弓公方の”副師”の矜持を元に、大敵北条氏と抗争し続けた里見義堯の評伝。外政においては家中の正木氏や領国の国衆、上杉謙信や武田信玄、宿敵北条氏との虚々実々の駆け引き。内政においては中国の「堯・舜」の治世を胸に掲げ、徳をもって領国を治めようとした義堯。地勢的に特殊な安房・上総国の舞台に生き残るために、勢力を拡大するために奮闘したその姿はそのまま、戦国大名当主の一例として、非常に興味深いものがありました。2023/08/20