内容説明
松平定信―。寛政の改革を断行した江戸後期の老中。徳川吉宗の孫という血脈に加え、奥州白河の藩政改革を評価され、幕閣に登壇。将軍補佐としてあらゆる分野に及ぶ改革政治を展開する一方、ロシアの脅威に直面し、幕末までの基軸となる対外方針を策定。山積する難問に挑む。多数の著述を残し、書画・作庭等の才から文化人として高く評価された希代の生涯を追う。
目次
第1 誕生から藩政改革へ
第2 幕政改革へ向けて
第3 幕政改革の展開
第4 幕政改革からの撤退
第5 幕政改革推進中の藩政
第6 藩政専念から幕政関与へ
第7 隠居から死去へ
著者等紹介
高澤憲治[タカザワノリハル]
1951年生まれ。1979年学習院大学大学院人文科学研究科史学専攻修士課程修了。現在、国學院大學文学部非常勤講師、博士(歴史学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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金吾
20
清いイメージが強い人ですが、一概にそうではなくやはり政治家という感じがします。特に白河からの転封には政治力を感じました。業績と背景がわかりやすくまとめられていて良かったです。2023/09/26
叛逆のくりぃむ
6
上杉鷹山や細野重賢と藩主時代交友があったことを初めて知る。2019/03/10
MUNEKAZ
5
寛政の改革を主導した松平定信の評伝。「清廉な改革者」「名君」という自身のイメージを守るために、藩政の評判を気にしたり、逆に幕政への不満が藩内に伝わることを恐れる姿が印象的。また老中解任後も海防政策においては影響力を持ち、以後の幕府の路線を規定したというのも興味深かった。なにより意外だったのは文化事業への傾倒であり、大量の自著のほか、絵画に大規模な作庭と自領で倹約政策を進める政治家とは思えないほどだが、後世に名を残せることを考えると彼らしいとも思える。2017/12/17
wuhujiang
1
松平定信というと清廉潔白な名君というイメージだが、本書を読むとなかなかの行いを多数行っている。特に彼の行った藩政については全然知らなかったが、倹約令を乱発しているわりには江戸に新しい屋敷を抱え庭園を造っているのはちょっと……。また、風聞探索に相当の熱意を上げる、何度も辞任を願ってそのたびに引き留められることで自分の地位を固めようとするなど。「寛政の遺老」とも仲たがいしたのか……。当時から言われている「器が小さい」というのがピッタリな気がする。2021/04/04
きさらぎ
0
すごくなんというか真面目な本で、私が江戸の知識が乏しいせいで、全く行間が読めないというか想像力が働かず、記述を追っていくのがちょっとしんどかった(苦笑)すごく基本的なことだけど、松平定信って案外幕末に近かったんだなあ。交友関係で島津斉興とか重豪とか出てきてあれっと思った。最も信頼していた友人の一人に林述斎が挙がっていたので、機会を見つけてそっち方面も当ってみようかな。お弁当持ち寄って政治談議する大名’sちょっと可愛かったです。2014/09/19