内容説明
日本最初の武家法、御成敗武目の制定者として、また鎌倉時代における稀代の名執権として古来その誉れが高い。北条氏歴代の中で、なぜに泰時ひとりがかくも異数な称讃をかち得たのか。広く関係史料を渉猟し、承久の乱の動揺と武家政権の確立をはかるその時代を背景に、人間泰時の誠実と苦悩の生涯を描き、事績を浮彫りにした好著。
目次
1 育ちゆく少年
2 承久の乱
3 都の秋
4 執権の喜びと悲しみ
5 式目の世界
6 泰時と仏教
7 花散る春
8 泰時の顔
略系図
略年譜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
春風
15
鎌倉幕府三代執権・北条泰時の伝記。制定した御成敗式目の性質についても論じられる。著者は泰時公を『乱世の雄としては不適格であるが、幕府権力の確立者としては最適であった』とし『よき時代のよき執権』と評する。正直・勤勉・誠実といった坂東武者の美徳を有し、道理を重んじた人間。こういった完全無欠の人格者のように伝えられる中で、否定的論評も渉猟しているものの、承久の乱にて朝廷に歯向かった事を批判するものに留まった。晩年の後嵯峨天皇推戴の頑なさを見ても、道理を重んじ、承久の乱の再来を嫌忌し、筋を通した人間性を窺える。2020/06/10
月をみるもの
9
ガッキーが明日産む子供が泰時なんだろな、やっぱ。2022/04/16
えぬざき
1
北条泰時といえば御成敗式目を定めたスゴイ人、みたいな前知識で読んだが、実際の実績がよく分かった。幼少期から晩年へと向かうなかで重要なトピックが取り上げられていて、特に式目の項が効果範囲の限界や後世での破綻に言及されていて勉強になった。また、宗教や寺社との関わりに関しても、明恵上人に帰依し善政に取り組んだ一方、寺社勢力の非武装化に断固として臨んだのも、生真面目な泰時らしい話で面白い。筆者は泰時が時代に恵まれたというが、個人的には泰時の資質による成立事項も多い気がして、時代と人物が噛み合った好例と考えたい。2023/03/12
とりぞう
0
御成敗式目の意義などについて概略を知りたいと思って手にとった。目的は叶えられた。2014/12/04
1131you
0
教科書的な内容をイメージして読んでみたが作者の主観が強い。この内容でも小説ならまだ良いんだけど。実朝暗殺の黒幕が義時ってさも当然のようにさらっと書くところなんて主観的よりむしろ恣意的。極め付けは「私は生涯においてこれほど思慮を失った泰時を見たことがない」って。知り合いかな?2022/11/08
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