内容説明
講談・浪曲で知られる正雪と,実際とは,どこがどう違うのであろうか。正雪が計画したところは,勤皇運動の先駆か,キリシタンの一揆か,また幕政に対する批判か,生活難にあえぐ浪人の救済か。由比正雪・丸橋忠弥らの慶安事件の全貌は,本書に示された時代背景の鮮やかな浮彫りとともに,はじめて克明に描き出されている。
目次
1 紺屋正雪
2 江戸の正雪
3 浪人暮し
4 慶安時代
5 謀叛露見
6 駿府の正雪
7 一味
8 後始末
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アメヲトコ
5
1961年初版。慶安4年(1651)に幕府転覆計画を立てるも露見し、駿府で自害した由比正雪の生涯を描いたもの。とはいえ慶安事件以外でまともに史料は残っておらず、結局は後世の胡散臭い逸話集から組み立てざるを得ないという残念な仕上がりです。これは著者の責というよりは、なぜ正雪を人物叢書のラインナップに加えてしまったのかという企画の問題でしょう。2020/10/05
紫暗
1
名前は知っているけれど何をした人物か詳しくは知らないというもやもやを解消したくて読みました。……が、結果、その生き方もはっきりとはわからないという結論でした。もちろん、謀反を企てたという事実はあるし、最後は切腹だったということもわかってはいますが、本当のところ、何を考えて謀反を企て、どんな思想をもって誰に影響を及ぼしたのか。どこで生まれたのかさえはっきりとはわからない資料のなさ。ただ、その何もわからないミステリアスなところが後世の人々の興味を引いたのかもしれないと感じました。2014/05/29
多読多量連投が日課だった
0
江戸初期に倒幕企むがバレて自害して講釈や小説にされる人。浪人に詐欺っぽい事をした節。詐欺やネット商材に有る手口。2017/08/18
かずさん
0
まだまだ不明な点が多いと思った。2016/03/06
NyanNyanShinji
0
由井正雪は周知のように、三代将軍徳川家光から四代家綱への代替わり直後に叛乱を起こそうとしたが、その乱は密告により未然に防がれてしまう。その生涯は謎に包まれているが軍学者の楠不伝の跡を継ぎ、幕府の浪人対策に異議を唱えるべく立ち上がったらしい。その乱ののち、幕府は乱の元となった浪人を江戸から締め出すかどうかで意見が分かれたが、かえって地方に賊となるという事で浪人を出さない対策「末期養子」を生み出した。彼の眠る墓の近くには十三仏があり、この仏達は宮城野・信夫姉妹が建立したと言い伝わる。もちろんコレは俗説だけど。2021/08/07