出版社内容情報
江戸時代を襲ったさまざまな災害。なかでも飢饉には流行病が伴い、感染症は列島社会を駆け抜けた。人々の暮らしや生命の危機に地域社会はどう動いたのか。飢饉と流行病を中心に、その実態と対応を追究。災害・飢饉観や、民衆の歎き、医師の活動などにも説き及ぶ。東日本大震災やコロナ禍など、「災害の時代」を生きる上での指針を与える注目の書。
内容説明
江戸時代を襲ったさまざまな災害。飢饉には流行病が伴い、感染症は列島社会を駆け抜けた。生命の危機に地域社会はどう動いたのか。飢饉、流行病を中心に実態と対応を検証。「災害の時代」に生きる歴史学の役割を問う。
目次
災害史、とりわけ飢饉と病について―本書が取り上げたこと
1 列島社会の広がりのなかで(江戸時代の飢饉・災害観―奢り・天の戒め・仁政;安永二年の疫病流行―江戸、東北地方を中心に;列島を縦断した「琉球風」―天保三年の風邪流行;災害・疫病と民衆体験―旅人菅江真澄の見聞)
2 地域社会の暮らしのなかで(地域・流域における災害発生の歴史―近世後末期の仙台西部地域;飢饉から疫病流行へ―仙台藩の場合;米作地域の天保の飢饉―庄内藩の場合;飢饉と風犬の患から救う―建部清庵『民間備荒録』の社会背景)
「災害の時代」を生きる
著者等紹介
菊池勇夫[キクチイサオ]
1950年青森県に生まれる。現在、一関市博物館館長、宮城学院女子大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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bapaksejahtera
12
東北を中心に江戸期の災害史を社会史的に纏める。災害を巡る安藤昌益の天譴論とその影響を冒頭に、安永二年下層民を中心に被害が広まった疫病を採り上げるが、病名不詳に終わる記述からは、医者の分析参加があればと残念に思った。琉球風と呼ばれる感冒の東遷北上の記録は興味深い。菅江真澄の東北飢餓のルポは鬼気迫る。仙台藩広瀬川流域の旱魃や水害の分析から、流域を中心とした地域論的分析の重要性を認識する。江戸時代の農民と米食に関する常識を破る庄内地域の米食中心主義、同地での備荒のあり様は意外。総じて時宜を得た警世的良書と感じた2024/09/29
アメヲトコ
10
2023年3月刊。東日本大震災やコロナ禍などを経験した著者自身の危機意識をベースに、近世の飢饉と疫病について、主として東北地方をフィールドとして列島社会と地域史の視点から検討した一冊です。安永2年に江戸でも東北でも流行したという謎の疫癘、盛岡藩における狂犬病流行とその「治療」などの事例を読むと、疫病を歴史学の知見だけで分析することは難しく、医学分野との共同研究の必要性を感じさせられました。2024/01/23
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