出版社内容情報
江戸は、低地である本所・深川を中心に何度も水害に見舞われた。幕府の水害記録と対策マニュアル、女性・子どもと男性の避難の違いなど、水害への対応を具体的に描き出す。災害復興の中長期的都市政策や埋立・水路・堤防など人為的な自然環境の改変を解き明かし、自然と社会との連関を考察。災害を自然と人間との相互関係として捉える注目の書。
内容説明
多くの水害に見舞われた本所・深川などの江戸低地。幕府の対策マニュアルや避難状況、災害復興の中長期的都市政策、埋立・堤防など人為的な自然環境の改変を解明。災害を自然と人間との相互関係として捉える注目書。
目次
災害史から―本書の課題
1 災害対応(災害対応と文書行政;水害記録と対策マニュアルの形成;江戸水害における住民の避難行動)
2 中長期的災害対策(災害復興をめぐる近世都市政策と地域社会―寛政期における江戸深川洲崎の高潮被害;江戸の天明期連続複合災害)
3 人為的自然環境と災害(江戸水害と都市インフラ;水系と災害)
“連関”の環境史―成果と課題
著者等紹介
渡辺浩一[ワタナベコウイチ]
1959年、東京都に生まれる。1987年、東北大学大学院文学研究科博士後期課程中退。現在、人間文化研究機構国文学研究資料館・総合研究大学院大学文化科学研究科教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
96
江戸の下町がしばしば水害に見舞われたとは史書にも出てくるが、幕府の対応策や住民がどう避難したかなど実務的な話はまずない。当時から水害に関する総合的な対処マニュアルが作成され、町奉行所がどう対応したかを詳細に記録した古文書が100年分も残されているなど、現代の都市防災行政にも通じるシステムを形成していく状況がまとめられている。火除け地と同じ波除け地が住民を排除して設けられたり、利権目当てに造成された土地が原因で洪水を招くなど、近世から災害とは人が環境を改変する過程で起きる自然との衝突であることが理解できる。2022/07/14
アメヲトコ
6
22年6月刊。近世江戸を襲った水害をテーマに、幕府による災害対応や社会的影響、災害と環境との関係について論じたもの。「出水一件」と名づけられた幕府による一連の水害対策マニュアルの存在が興味深いです。また自然と人間とを二項対立的にではなく相互浸透的な関係にあるものとして捉え、〈連関〉の環境史を描こうとする試みは大変重要な仕事と思いました。2022/06/06
takao
2
ふむ2022/07/14
Go Extreme
1
災害史から 災害対応 災害対応と文書行政―江戸における二つの大水害: 自然改造と被災状況 情報収集と政権の状態 被災者対応: 水害記録と対策マニュアルの形成 江戸の寛保二年大水害と水害記録の成立 両国橋に限定した対策マニュアルの策定 総合的水害対処マニュアルの策定 江戸水害における住民の避難行動: 優先避難者としての女性と子ども 避難者の分析 中長期的災害対策: 災害復興をめぐる近世都市政策と地域社会 江戸の天明期連続複合災害 人為的自然環境と災害: 江戸水害と都市インフラ 水系と災害 〈連関〉の環境史へ2022/06/29
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