内容説明
日本高僧伝要文抄…婆羅門僧正伝・弘法大師伝・叡山大師伝などの奈良・平安の高僧伝や延暦七年(七八八)思託撰の延暦僧録などのなかから四十二人の伝記の要文を抄出してまとめたもの。三巻。東大寺尊勝院の学僧宗性上人(一二〇二-九二)編。建長年間の編。三国仏法伝通縁起・元亭釈書の先駆として仏教史上有名であるばかりか、現在は伝わっていない平安初期の延暦僧録から鑑真・聖徳太子・聖武天皇等二十四名の伝記の引用がある点でも貴重な史料である。底本には東大寺図書館所蔵の宗性上人自筆本を用いた。元亭釈書…仏教伝来以来鎌倉時代までの日本最初の綜合的仏教史。三十巻。東福寺海蔵院の虎関師錬撰。僧伝十九巻、資治表十七巻、志十四巻。元亭二年(一三二三)の成立。中国に範をとりながらも独自の見解を示す。古来、幾多の名僧を出しながらも仏教史としてまとまったものがない点を遺憾に思い、志を立てたものという。完成後、朝廷に奏請して大蔵経に加えられんことを乞うた。その初版は永和三年(一三七七)であるが、今、底本としてこの初版本を用いた。名著らしく幾多の逸話がまつわり、凝然が巻十九まで著してあったものに、師錬が増補して完成させたものとか、一山一寧に高僧のことを質問されて返答に困ったことを恥じ、後年この大著をなしたとか伝えられる。出版に際し、底本にある室町時代の学僧の音訓点・頭書・分注・傍注を忠実にとり、音訓・語法の参考資料となるよう心掛けた。巻末には策目を付した。
目次
日本高僧傳要文抄(婆羅門僧正菩提傳;弘法大師空海傳;禪林寺僧正宗叡傳;靜觀僧正増命傳 ほか)
元亨釋書(傳智;慧解;淨禪;感進 ほか)
-
- 和書
- ながれぼし