出版社内容情報
思想史研究は史料といかに向き合うべきか。テクストの内容読解だけでは掴めない思想の文脈を、史料学の実践のなかに見出す試み。整理にあたった陸羯南・徳富蘇峰・鈴木虎雄らの関連資料群の伝来と構造の解明に加え、書簡・日記・雑誌・書物などからテクスト構築の実践的課題に挑む。大量に残存する近代史料を対象に、思想探究の方法を提示する。
【目次】
序章 思想史テクスト構築のための規準と技法
はじめに
一 資料と史料、歴史資料
二 所在情報からテクストの構築・解釈まで
三 思想史の方法としての史料学
おわりに
第一部 史料群の整理及びその伝来と構造
第一章 最上家所蔵「陸・最上家関係資料」の整理―「陸羯南関係史料」の特定作業―
はじめに
一 第一次調査の実施と伝来の聴取
二 第一次調査分の資料群構造及び目録の記述内容
三 資料群としての特徴と注目される史料
四 第二次調査の実施と資料群としての全体構造
五 「陸羯南関係史料」の問題点
六 注目される新出史料
七 陸幾子と平野千恵子
おわりに
第二章 「鈴木虎雄関係史料」の整理―追加整理の書簡史料を含む伝来と構造―
はじめに
一 「鈴木虎雄関係史料」の整理作業
二 史料群の全体像
三 「陸翁書簡」の内容
四 「鈴木虎雄関係史料(長善館鈴木家旧蔵分)」の伝来
五 原状と整理の経過
六 資料群の概要
おわりに
第三章 「長善館史料館所蔵資料」の整理とその伝来・構造
はじめに
一 資料整理の実施と全体の性格
二 整理資料の全体像
三 所蔵資料の伝来
おわりに
第四章 「蘇峰会所蔵資料」の整理とその構造・伝来
はじめに
一 構造と伝来の特質
二 書簡集と伝記の原稿
おわりに
第二部 書簡史料の批判と解釈
第一章 最上家所蔵「陸羯南宛高橋健三書簡」―テクスト構築と対外硬運動期の内容分析―
はじめに
一 全集、言行録との比較
二 テクスト整備の手順
三 対外硬運動における高橋健三と陸羯南
おわりに
第二章 小田原市立中央図書館所蔵「高橋健三宛陸羯南書簡」―テクストの構築と「陸‐高橋往復書簡」の復元作業―
はじめに
一 作成年代の特定
二 記述内容の検討
おわりに
第三章 妻・花圃との往復書簡にみる三宅雪嶺の洋行
はじめに
一 「意の向ふまゝ遠遊」―南アフリカ航路も検討―
二 「トーさまはセイヨウよ」― 往復書簡(一)―
三 「西洋は概ね予想の通り又は一、二割劣り居候」― 往復書簡(二)―
おわりに
第三部 日記史料の整理と解釈
第一章 日記でよむ長善館
はじめに
一 嘉永七年(一八五四)から明治三年(一八七〇)まで
二 明治四年(一八七一)から同十四年(一八八一)まで
三 明治十五年(一八八二)から同二十年(一八八七)まで
四