出版社内容情報
帝国日本において、満洲国軍とはいかなる存在だったのか。日露戦争期の馬賊ら在地勢力が、張作霖主導の奉天軍期を経て満洲国軍に組み込まれていく過程や、陸士留学生の役割、軍内統制の実態、徴兵制を規定した国兵法の意義、対外作戦への動員と崩壊までを検証。満洲国軍の歴史的意義を、日本植民地・占領地史、中国東北史に位置づけて考察する。
内容説明
帝国日本において、満洲国軍とはいかなる存在だったのか。日露戦争期の馬賊ら在地勢力が、張作霖主導の奉天軍期を経て満洲国軍に組み込まれていく過程や、陸士留学生の役割、軍内統制の実態、徴兵制を規定した国兵法の意義、対外作戦への動員と崩壊までを検証。満洲国軍の歴史的意義を、日本植民地・占領地史、中国東北史に位置づけて考察する。
目次
課題と視角
第1部 奉天在地勢力と日本―満洲国軍前史(日露戦争期から辛亥革命期の奉天在地勢力―張作霖・馬賊・陸軍士官学校留学生;東三省支配期の奉天軍と陸軍士官学校留学生;満洲事変と満洲国軍の創設)
第2部 満洲国軍の発展と崩壊(満洲国軍の発展と軍事顧問・日系軍官の満系統制;満洲国軍の変化と国兵法;満洲国軍の対外作戦と崩壊)
帝国日本の大陸政策と満洲国軍
著者等紹介
及川琢英[オイカワタクエイ]
1977年北海道に生まれる。2009年北海道大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)。現在、北海道大学大学院文学研究院専門研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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秋津
6
日露戦争以来の満洲在地勢力と日本の関係、彼らが組み込まれて満洲国軍が発足し、戦局悪化や待遇上の不平等などによる軍内部の抗日意識の広がりによって崩壊していくまでの過程、「国兵法」施行などを契機とする軍の変化の考察に加え、台湾・朝鮮と、独立国家を建前とする満洲国における兵制の比較、同軍が「戦後の各地における軍を担う人材の揺籃の場」(終章)であったことなど、各種数値や個人の属性等(奉天派内の親疎や軍事顧問の出身等)の史料を用いて丁寧に考察されており、満洲国軍と帝国日本の植民地・対外政策の一端を知ることができた。2019/12/05
竜王五代の人
2
人という面から見た満洲国の国軍についての研究本。興味深かったのは、まず日系軍官の中でも中下級士官のことで、日本軍からは下請け会社じみた視線と扱いを受け、誇りを持てず、不安定な軍を抑えるのに当局は日系を増加するしか手を持たなかったけど、それが却って反発を生む負のスパイラル。設立された士官学校で育った士官のうち満系も、日露戦争を離れて面従腹背。いや傀儡国はつらい。あとグルカ兵をとの期待に苦しんだモンゴル系。2023/08/30