内容説明
島崎藤村が幕末期の人間模様を描いた『夜明け前』。その舞台である東美濃・南信濃地域の豪農商たちの、小説よりも多様な姿や物語の歴史的背景を描く。平田国学を受容した人々を取り上げ、新たな視点でその実態に迫る。
目次
第1部 『夜明け前』の世界と平田国学(小説『夜明け前』と中津川;下伊那の国学;間秀矩・馬島靖庵の横浜生糸交易;世良孫槌のこと;幕末中津川をめぐる三人の女性達;中津川国学者と薩長同盟―薩長盟約新史料の紹介を糸口として;筑波義徒磯山与右衛門の情報蒐集活動)
第2部 平田国学と佐藤信淵(気吹舎と四千の門弟たち;三人織瀬;佐藤信淵と房総;竹川竹斎と佐藤信淵)
著者等紹介
宮地正人[ミヤチマサト]
1944年福岡県に生まれる。1966年東京大学文学部国史学科卒業。1971年東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。1971年東京大学文学部国史学科助手。1982年東京大学史料編纂所助教授。1989年東京大学史料編纂所教授。2001~2005年国立歴史民俗博物館長。現在、東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Guro326
1
★★★★▲ 平田篤胤の子孫盛胤が祖父方に関係してそうで、あわてて平田国学を追っかけている。/夜明け前は小説だけど、中津川妻籠馬籠あたりの平田国学を介したつながりの人々を描いたものだったのかー。中津川すごいし、幕末の見方がまたひとつ深まる。/篤胤以後絶えるまでの四代の系譜については、このぐらいの研究書や研究者によってしか明らかにされてないっぽい。2018/02/16
まっちゃん2
1
専門書で一般市民が読むには相当難しい。平田国学が明治維新の思想的原動力になったこと。平田国学の門人が伊那と中津川の周辺に多くいたこと。中津川は江戸と京都の中間地点にあって、維新の情報センターとして機能していたこと。それを成立させるインテリ層が中津川に多くいたこと。自分の故郷なのにこの年までよく知らなくて驚きました。文豪島崎藤村はそのような土壌から輩出したのですね。2017/04/08
katashin86
0
「夜明け前」と史実の食い違いを明らかにしつつ、東濃南信の国学者たちの維新期の躍動と新政府で容れられない姿を描く。維新の駆動力となった国学への理解が増す。2024/08/10