内容説明
首相奏薦・天皇への助言など「常侍輔弼」を任とした内大臣は、衰退する元老の政治調整機能を補完し大正・昭和期にかけ存在感を増していった。変動する明治憲法体制の下、内大臣による「常侍輔弼」はいかなる変遷を遂げたのか。平田東助・牧野伸顕・木戸幸一ら歴代の内大臣の時代を辿り、その運用を検討。国家意思の形成と宮中の役割を追究する。
目次
序章 研究史と分析の視角
第1章 内大臣の設置と明治期の「常侍輔弼」
第2章 新帝輔弼と大正前・中期の内大臣
第3章 内大臣制度の転機と平田東助
第4章 内大臣の側近化と牧野伸顕
第5章 「側近集団型輔弼方式」の動揺と湯浅倉平
第6章 「常侍輔弼」の制度化と木戸幸一
結章 明治憲法体制と「常侍輔弼」
著者等紹介
松田好史[マツダヨシフミ]
1977年生まれ、鳥取県出身。2000年、早稲田大学第一文学部卒業。2010年、早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。現在、早稲田大学文学学術院非常勤講師・霞会館非常勤嘱託員。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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バルジ
2
明治憲法体制における内大臣の基本的研究。明治期から終戦まで「常侍輔弼」を任とした内大臣の権能を各時代ごとに人物を主に据え論じる。その曖昧模糊とした「常侍輔弼」は内大臣就任者、天皇双方の属人的な部分に大きく左右され内実が大きく異る。明治期は政治的に無力と言って良い内大臣は大正期に入り各輔弼機関の調整を行っていた元老の政治的生命が尽きかけ、尚且天皇が政治的実権を持ち得ない状況の下で元老クラスの人物が就任。松方正義、平田東助は自己の政治力をフルに活用し「常侍輔弼」の政治的地平の拡大を齎す(続く)2020/05/31