内容説明
「女は家庭、男は仕事」という性分業が成立した近代に、「主婦」は誕生した。『主婦之友』『婦人公論』といった婦人雑誌は、いかに「主婦」像をつくりだしたのか。マスメディアというイデオロギー装置の機能を読み解く。
目次
1 ジェンダー化されたメディアの世界―女性読者層と女性向け商業雑誌の誕生(ジェンダー秩序の形成とマスメディア;女も読書する―女性向け大衆雑誌の登場;婦人雑誌がえがく近代の女―「モガ」と「主婦」)
2 婦人雑誌がつくる「主婦」―メディアと女性読者が結んだ三つの関係(有益)(修養)(慰安)(大衆婦人雑誌の三つの相―メディアと読者が結んだ関係;主婦の技能(有益の章)
主婦の規範(修養の章)
主婦のファンタジー(慰安の章))
3 「主婦」であることの魅力―メディア空間と日常の統合(「主婦」と「良人」の甘い生活;統合の象徴としての「主婦」イコン―雑誌を飾る美人画)
近代のイデオロギー装置としての婦人雑誌
著者等紹介
木村涼子[キムラリョウコ]
1961年生まれる。1995年大阪大学大学院人間科学研究科博士課程単位取得退学。現在、大阪大学大学院人間科学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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そ吉
5
2年前から読みたかった本書を読了出来て先ずは嬉しかった。本書は主に明治期から戦前迄の主婦之友の記事、広告、表紙デザイン等雑誌としての全てを解剖して考察した意欲的な論集である。大阪大学の紀要や新たに著者が書き加えた論文を基に構成されているが、全体の纏まり統一感もよく不自然な感じは無い。 本書は日本学術振興の研究助成金を受けたものであり、だからこそこれだけ深く文献の読み込みができたのであろう。研究書の手本である。★★★★☆2021/10/13
rbyawa
0
j072、ものすごく端的に本をまとめると「戦前ファシズム期にだいたい現在の主婦像が完成した」ということになるだろうか、まあ、古来からの伝統と思われているものが近代からということは少なくはないものの、さすがに新しいよなぁこれ。まあただ、その主婦像の形成に関しては女性サイドからの強い要望があったんだよね、というのも納得。いつものことだが菊池寛が価値観の形成に大きく関わっており、吉屋信子がそれに次ぐ、加藤武雄になるともう詳細がわからないなど嘆かれていたものの…大衆文学とは掲載雑誌が違うので責めるのはちょっと…。2019/06/25
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