出版社内容情報
関白となった羽柴秀吉は、天皇の権威に依拠しつつ国内「静謐」の実現を目指し、勢力圏拡張を進める九州の島津攻めを決める。九州平定戦を含む一連の政治・軍事過程の具体相と、国分け・国割りなどの戦後処理=九州仕置(しお)きの実態を詳述。「九州一統」がもたらした領主権力の再編・統合の歴史的意義を、中世末~近世初めの大転換期に位置づける。
内容説明
秀吉は国内「静謐」の実現を目指し、九州の島津攻めを決める。一連の政治・軍事過程の具体相と、戦後処理=九州仕置きの実態を詳述。「九州一統」による領主権力の再編・統合の歴史的意義を、大転換期に位置づける。
目次
第1部 九州一統への道(織田・羽柴政権と九州・西国;羽柴政権の九州「停戦令」と「国分け」案)
第2部 九州平定戦の推移(中国・四国勢による前哨戦;関白秀吉の「九州御動座」;戦後の九州仕置き)
第3部 新秩序への反動と体制の再編(未完の「九州平定」;新たなる政治・社会秩序;「御朱印」体制の成立)
著者等紹介
中野等[ナカノヒトシ]
1958年福岡県嘉穂郡に生まれる。現在、九州大学大学院比較社会文化研究院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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テト
17
信長から秀吉にかけての時代の、九州で起きた波乱の割拠を学術の視点、つまり文書からつらつら細かく当時に何が起こっていたのか解説している。有名な合戦も断片的にしか見ていないようで、前後の脈略やそのあとの仕置きなどは生々しい。そのなかで秀吉がどのように九州一統を目指したのか、国内の静謐、叡慮と言うような概念で納得をさせる人間的な感情の働きの存在で揺れ動いていた歴史の面白さを改めて感じることができた。2024/08/09
MUNEKAZ
15
織田政権による「豊薩和平」の破綻から説き起こし、関白にして内大臣たる秀吉が、天皇の「叡慮」を掲げて行った九州平定戦の実態を描く。興味深いのはすでにこの時点で秀吉は「高麗攻め」を公言しており、九州平定の暁には筑前博多に城を築き、自らが出馬する意向であったということ。豊臣政権の初期から海外侵略は念頭にあり、決して老いてボケたが故の愚行ではないのである。他に島津氏をはじめ本領を維持した大名に対しても、新たに領地を「充足した」という形をとっており、大名の鉢植え化という近世に向けての萌芽が見られるのも面白い。2024/05/18
chang_ume
7
秀吉の九州攻めについて前史含めて史料を細かく読む。西日本規模の遠交近攻策を背景とした、大友・島津の「豊薩和平」の枠組みが成立・破綻する流れを大軸としつつ、秀吉の大陸侵攻を見据えた九州攻めが描かれる。戦後の肥後国衆一揆が北部九州全域に波及した状況において、刀狩り令・海賊停止令の発令意義を理解するところがポイントか。ややもすれば全国規模の社会変革が意識されがちな豊臣政権の法令群ですが、著者は九州攻めとその戦後処理という特定文脈が作用したと歴史的な位置づけを行う。藤木久志氏などとはまた別の視点だろう。2024/04/17
うしうし
3
永禄年間の北部九州をめぐる大友宗麟と毛利元就の対立から始まり、天正16年の秀吉によるまで日向国割りまでの九州をめぐる状況を詳細に解説。大友氏に関連する記述が一定量なされていることも私には有難い。ただし、一次史料に忠実で、歴史的事実を客観的に記述するスタイルは、メモを取りながらの再読が必至であると思った。2025/02/22
takao
2
ふむ2024/09/12
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- 日本古代中世の葬送と社会