出版社内容情報
多様な地形図・絵図・航空写真などを手がかりに、13?16世紀の陸上交通のあり方を解き明かす。交通の拠点である宿町の構造と機能、道路と宿の整備に関わる幕府や各地の有力者、宗教者の役割を考察して中世日本社会の状況を読み解く。さらに東海道沿道地域の景観を復原し、現代まで繰り返される開発・地形改変と災害の歴史にも目を向ける。
内容説明
地形図・絵図・航空写真などから、13~16世紀の陸上交通のあり方を分析。宿町の構造と機能、交通整備に関わる幕府や宗教者の役割を考察して中世日本社会を読み解き、東海道沿道地域の開発と災害の歴史をも見通す。
目次
中世陸上交通研究の視角と方法
第1部 宿の空間構成(東海道の宿の空間構成;鎌倉街道上道の宿の空間構成 ほか)
第2部 宿と中世社会(時衆の交通路構築;宿と地域社会―矢作宿と矢作川水系の社会 ほか)
第3部 旦過のある町(旦過と湯屋;都市空間の宗教性)
第4部 災害・開発と地形の変容(中世東海地方の海岸平野と生業;連鎖する開発と災害)
著者等紹介
榎原雅治[エバラマサハル]
1957年岡山県に生まれる。1982年東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、東京大学史料編纂所教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アメヲトコ
9
21年4月刊。地名や地形などを手がかりにしながら中世の宿やラグーン景観の実像に迫ろうとした試みです。やや力技な論証の箇所もありますが、中世の宿と仏教との密接な関係や、開発と災害の関係など、さまざまな刺戟をくれる一冊でした。2021/11/18
イツシノコヲリ
2
名著の『中世の東海道』の続編となるような内容だった。中世の宿と交通事情についてよく分かりました。宿立図による阿弥陀・薬師の空間構造や旦過・湯屋など勉強になる所は沢山あった。史料の制約というのもあるが、結構強引に結論を導き出している気もした。中世では宿長者などの交通の担う人々が武士権力から間接的な支配を受けながら纏まり合うことで、道路交通というものが維持されていたんだなと思いました。2024/04/03
takao
2
ふむ2023/10/29
Go Extreme
2
中世陸上交通研究の視角と方法 宿の空間構成:東海道の宿の空間構成 宿の阿弥陀と薬師 渡である宿の空間構成 鎌倉街道上道の宿の空間構成 いつ、誰がつくったか 中世の宿の大きさ 三河国山中宿 中世の宿町の標準的な大きさの推定 現存する宿の地割の検討 宿の庭 宿と中世社会:時衆の交通路構築 宿と地域社会―矢作宿と矢作川水系の社会 中世の旅館と伝馬・宿送 室町殿の旅 山陽道摂津の宿 旦過のある町:旦過と湯屋 都市空間の宗教性 災害・開発と地形の変容:中世東海地方の海岸平野と生業 連鎖する開発と災害2021/04/16
Go Extreme
1
宿の空間構成 日過(ひかど)と湯屋(ゆや) 災害・開発と地形の変容 都市空間の宗教性 現存する宿の地割の検討 宿と寺社の配置 時衆の交通路構築 室町将軍の旅 地名に現れた日過 連鎖する開発と災害 守山宿町絵図 東海道の宿駅と薬師信仰 売薬商人と修験 往還を切る 中世の旅館と伝馬・宿送 中世末期の浅羽低地の干拓 浅羽低地の歴史批観 今之浦低地の歴史批観 中世東淘地方の海岸平野と生業 近代・現代の浅羽低地の水害と治水工事 都市空間の結界の表象 修験は視、述釈は十、作屈は兄弟 椋橋的な大きさの拙定2025/04/15