内容説明
中世の世界をみるみる黒く塗り漬していく近世という怪物。その正体を探るべく、パソコンという新兵器を携えて、東に北条、西に毛利、北に伊達、南に島津と戦国大名行脚を重ね、ついには花の都の天下人たちの門まで叩いた辛抱強い旅人が目にしたのは…。戦国大名たちの文書の出し方から統治のスタイルを探ろうという画期的な試み。
目次
1 東国の大名たち(後北条氏;武田氏;今川氏;上杉氏;佐竹氏)
2 西国の大名たち(毛利氏;大友氏;島津氏;大内氏・六角氏)
3 東北の小宇宙(伊達氏;奥羽の諸民)
4 天下人たち(信長;秀吉;家康)
黒と白と―旅のおわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いいちこ
1
印判状を発給する戦国期権力と判物を主に発給する権力とを統計処理を行うことでその傾向を示した意欲作。 山室氏によれば、印判状化が進むにつれ、官僚機構が進んだとしているが、これはあくまで統計的に見た結果であって、官僚機構が整備されたか否かについては、文書の発給過程や、権力構造を明らかにする必要がある。 また、同じ権力が発給した文書でも、同じ相手に印判状、判物を同時に発給した事例(陽明院文書)があり、こういった例を説明できないという点に、論理的弱さがある。
天婦羅★三杯酢
0
白い女王さまと黒い王様の国の悲しい物語。 と言われると、それはちょっと違うんじゃないかという気もするけど、戦国大名が出した書状に印鑑が使われているかどうかから、これほどまでに戦国の治世の実態がわかるというのはすごい。 実は@jyonaha先生の本で日本の江戸化の例証として紹介されていたから読んだのだが、この本から「土建国家」の導出はさすがにやりすぎでは?2011/12/27