内容説明
鎌倉期から戦国期までの女性の存在形態、役割、地位を、武家女性、公家の女性、地下村落と都市の女性のそれぞれについて考察。喧嘩、敵対、縁坐、離婚などを通して、家族と社会という関係の中で当時の女性の置かれている立場を明らかにする。
目次
第1部 中世女性の地位と役割(鎌倉期の女性;室町期の女性;戦国期の女性)
第2部 女性をめぐる中世社会(中世社会の離婚;中世社会の喧嘩・敵討;縁坐からみた中世社会)
補論 中世女性の栄光と実像―北条政子と日野富子
感想・レビュー
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kayak-gohan
17
1987(昭和62)年刊行。日本史で中世とされる鎌倉・室町・戦国時代に生きた女性たちの実像を探求した学術書。歴史講義の教科書としての面も併せ持つ著作。古典資料からの引用などやや難解な箇所もあるが、仮説→推理→実証という論述過程が丁寧に記述されており、興味深く読める。中世初期の女性は所領の所有権や相続権を持ち、家庭でも男性と対等の発言権を有していたこと、女性の側からの離婚申立ての自由がある程度認められていたこと、そして時代が下るにつれてその権限が狭められていくことが明らかにされていく。2022/09/13