出版社内容情報
仏教教理を貫流する思考枠組から独自に成長した南都や日本天台宗の理念を通して、古代仏教界の本源的課題である経典受容、国家仏教体制、戒律の実態を、担い手である僧侶の目線から光を当てる。また周囲に展開した王朝貴族社会の信仰を、歴史物語から復原。もってインド・中国からの三国仏教全体の流れのなかに、日本古代仏教の位相を照らし出す。
〈主な目次〉序=国史学における仏教研究の動向と課題/Ⅰ=日本仏教の経典受容(「法華滅罪之寺」と提婆品信仰/中国日本仏教界の偽経受容―『像法決疑経』解釈の形成とその継受―)/Ⅱ=南都仏教界と国家仏教(平安初期南都仏教と護国体制/中世初期戒律復興運動の戒律観とその背景)/Ⅲ=平安新仏教と国家仏教(平安京の仏教/最澄と国家仏教―『請入唐請益表』について―/九世紀における天台宗の八宗体制への同化)/Ⅳ=王朝社会と仏教(『栄花物語』の定子記述と後宮/藤原道長の下品下生往生―『栄花物語』における二つの浄土信仰―/聖なる仏教者藤原道長―『栄花物語』の仏教思想の一側面―/「権者」についての覚書)/あとがき/索引"
内容説明
古代仏教界の本源的課題である経典受容、国家仏教体制、戒律の実態を、担い手である僧侶の目線から光を当てる。また周囲に展開した王朝社会の信仰を、歴史物語から復原し、もって古代日本仏教の位相を照らし出す。
目次
国史学における仏教研究の動向と課題
第1部 日本仏教の経典受容(「法華滅罪之寺」と提婆品信仰;中国日本仏教界の偽経受容―『像法決疑経』解釈の形成とその継受 ほか)
第2部 南都仏教界と国家仏教(平安初期南都仏教と護国体制;中世初期戒律復興運動の戒律観とその背景)
第3部 平安新仏教と国家仏教(平安京の仏教;最澄と国家仏教―『請入唐請益表』について)
第4部 王朝社会と仏教(『栄花物語』の定子記述と後宮;藤原道長の下品下生往生―『栄花物語』における二つの浄土信仰 ほか)