出版社内容情報
律令国家による地方政治が転換を要求される時期に焦点を当てて治水問題を考察する。8・9世紀における河川の堤防修理工事等を通し、中央から派遣された諸使の種類・性格、地方国司の治水事業の実態を解明。さらに治水事業を考察するとともに、宗教家が造池事業に参加・協力する意味を追究し、治水史にみられる中央と地方の政治的姿勢を描き出す。〔主な目次〕序章=古代治水史研究の意味と本書の構成/Ⅰ=律令国家による治水政策(治水関係派遣諸使の考察/平安京の治水/国司と治水・灌漑/修理池溝料の考察)/Ⅱ=奈良・平安時代の造池修堤工事(河内狭山池の造営工事/毛野川の修営工事/延暦の治水工事/讃岐万農池の造営工事/大和益田池の造営工事)/Ⅲ=治水・用水技術と慣習(樋の設置をめぐる諸問題/水車の製造をめぐる諸問題/用水権をめぐる諸問題)/補論(救急料の考察/良吏と悪吏)/あとがき
内容説明
著者は1973年の5月に『日本古代用水史の研究』を発表した。本書は、灌漑・治水の研究を主な研究目標と決め、続行した研究書である。
目次
第1編 律令国家による治水政策(治水関係派遣諸使の考察;平安京の治水 ほか)
第2編 奈良・平安時代の造池修堤工事(河内狭山池の造営工事;毛野川の修営工事 ほか)
第3編 治水・用水技術と慣習(樋の設置をめぐる諸問題;水車の製造をめぐる諸問題 ほか)
補論(救急料の考察;良吏と悪吏)