内容説明
日本古代史上の重要な問題の一つである蝦夷(えみし)について、基礎史料の一つ一つに厳密な史料批判を加え、また層の厚いこれまでの研究成果も詳細に検討、更に戦後の考古学の数々の成果をふまえて、新たな蝦夷論を提起する。古代東北・北海道史解明のポイントである蝦夷問題を、東アジア史全体の中で位置づける意慾作。
目次
序論 古代蝦夷論
第1 阿倍比羅夫の遠征とその意義
第2 律令国家と蝦夷支配
第3 延暦期以前の政党と城柵造営
第4 延暦期の征討と蝦夷社会
第5 元慶の乱とその意義
第6 蝦夷問題と北海道
感想・レビュー
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Tom
2
1992年刊。古書店で購入したのだが、ところどころに鉛筆でラインが引いてある。箇所からすると、前の持主は北海道、アイヌ問題に関心があったようだ。ここ最近読んだ蝦夷関連の書籍では一番読み応えがあった。著者はあとがきで、学生時代にヴェトナム戦争を蝦夷問題に投影していたと述懐している。辺境の人々が大国の思惑の下で戦わされる構図はまさにそうで、この構図は現在も続いていると思われる。ということは蝦夷問題について考えることは現代世界を理解する一助になりうるのではないだろうか。第一章:阿倍比羅夫の遠征の資料研究が主。→2024/01/28