内容説明
古代・中世の国家・共同体において、男女はそれぞれに重要な役割を果たしていた。また、天皇の後宮や貴族の家組織の維持・運営に女性は大きく関わっていた。文学作品をも駆使して、社会全体の相互関係の中で日本古代・中世を生きた女性の実像を解明。女性の社会的位置や役割を正当に評価し、今後の女性史研究に着実で豊かな展望を示す。
目次
1 国家・共同体と女性(『風土記』の女性首長伝承;日本古代の戦争と女性 ほか)
2 家族・親族と女性(養老五年籍の「姉」「妹」の意味―人名と親族名称の分析による母系実態の解明;古代の離婚における女性の地位について ほか)
3 後宮と女性(母后と皇后―九世紀を中心に;研究ノート 室町時代中・後期女房職相伝をめぐって―大納言典侍 広橋家を中心に ほか)
4 貴族社会と「家」(家令の基本的性格について―中国の「府」と日本の「家」;童殿上の成立と命名―王権と童 ほか)
5 文学にみる女性(『源氏物語』における女性性について;お伽草子『花鳥風月』に見る夫婦観と時代背景)