内容説明
1969年から企図された「むつ小川原開発計画」の「失敗」は、六ヶ所村に核燃料サイクル施設という名の放射性廃棄物の集中をもたらした。1988年以来継続してきた現地調査をもとに、どのような社会的諸問題が生起してきたのか、どのような教訓をくみとるべきなのかを社会学の視点から詳述する。
目次
序章 むつ小川原開発と核燃料サイクル施設の歴史を解明する視点
第1章 巨大開発から核燃基地へ
第2章 開発の性格変容と計画決定のありかたの問題点
第3章 大規模開発下の地域社会の変容
第4章 開発による人口・経済・財政への影響と六ヶ所村民の意識
第5章 原子力エネルギーの難点の社会学的検討―主体・アリーナの布置連関の視点から
第6章 地域社会と住民運動・市民運動
第7章 女性の環境行動と青森県の反開発・反核燃運動
第8章 日本の地域開発史における六ヶ所村開発の位置づけ
第9章 日本の原子力政策と核燃料サイクル施設
著者等紹介
舩橋晴俊[フナバシハルトシ]
法政大学社会学部教授
長谷川公一[ハセガワコウイチ]
東北大学大学院文学研究科教授
飯島伸子[イイジマノブコ]
元東京都立大学人文学部教授、2001年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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世界はきっと輝いてみえる
2
序章にも書いてあるように「日本の原子力政策を脱原発の方向に転換することの必要性を創造的に考察する」書籍。環境問題や科学技術における社会学としてはありなのかもしれないけれども、では今後青森県がこれほどまで積極的に原子力政策に乗り出した(あるいは乗り出さざるを得なかった原因)なんかを掘り下げてやってくれると続けて読んでみようかという気はするけれども、脱原発を前提として見すぎているように思えて一面的で、脱原発について積極的ではない私としてはあまりおもしろくない本だった。2013/07/17
瀧本往人
0
非常に硬質な本。真面目に核燃料サイクル施設の社会的な機能を分析し、その負の側面を明らかにしている。しかし、もう少し読みやすくできると思うのだが・・・http://ameblo.jp/ohjing/entry-11479488624.html2013/02/28
麒麟
0
左翼系学者が書いたってことが明らかな本。 女性や地元住民による反核運動を無批判に善なるもの、と捉える視座はいかがなものか。選挙により反核候補が当選したことは評価する一方、落選したことは民意の反映とみないのはいかがなものか。 そういう意味でいまいちでした。2012/05/17