内容説明
「もののあわれ」を解する心を評価する日本では、人々の生活に重要なのは論理や観念ではなく、身の回りにあって生活に直接関わっている具体的な物です。アジアでいち早く近代化を果たしながら、西欧文明の基準では未開ともいえる文化伝統を残しているユニークな日本社会を、韓国や中国とも対比しながら浮かび上がらせます。
目次
第1章 日本列島の住民
第2章 列島の多様な生活
第3章 「いえ」・親族・祖先
第4章 物(もの)と民俗知識
第5章 都市社会
第6章 市民、よさこい祭り
第7章 商業社会の伝統
第8章 多様な生活と人生像
第9章 開発と民俗社会
第10章 農業振興と民俗社会
第11章 日本の特殊性と周縁性
著者等紹介
伊藤亜人[イトウアビト]
琉球大学法文学部教授、東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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めん
2
筆者の前書きにもある様に、現代日本の民俗を、しかも文化人類学として書くのはとても難しいことなのだと実感。現代を生きる日本人としては特に面白味を感じないまま終わった。韓国や中国との比較に時々面白いな、と思う箇所があつたくらい。2014/05/04
富田
1
中国と、著者の専門のフィールドである韓国の事例を引き合いに出しながら、日本の民俗が読み解かれます。細かで具体的な事例と、マクロな様相を同時に語ることを可能にしているのは、伊藤さんの長年の研究により蓄積された知識と洞察力によるものでしょう。その代償か、参考文献が紹介されていない点が自分のような浅学者にとって不便なのもまた事実ですが。最終的には(特に中国、韓国と比較したうえで)東アジアにおける日本の民俗文化、社会の特殊性へと話が収斂します。2013/07/10
pippibato
0
論理だけではなく、物や人との繋がりを大切に、総合的に実践的に判断していく。そんな日本人の良さを言語化してくれる一冊。2025/04/20