内容説明
本書は、1995年度から3年間にわたる立命館大学人文科学研究所のプロジェクト研究「高齢化社会における意思自治と人間の尊厳」成果をまとめたものである。日本社会の高齢化が加速度的に進む中、社会のシステムはこれにいまだ十分対応できていないという現実がある。しかも法律・行政の分野における研究も、94年度までは、法システム全体と実態を視野に入れ、さらに他の研究分野を踏まえた研究水準に達したものは、乏しい状況にあった。そこで、このプロジェクト研究を発足させ、高齢社会にかかわる諸問題を多様な視角から取り上げて検討し、日本社会の実状に即した解決を志向しつつ、来るべき21世紀における社会のあり方を模索しようとした。
目次
高齢者のからだと健康づくり
日本国憲法における「個人の尊厳」原理
高齢者の取引被害と意思能力論―ドイツの自然的行為無能力を手がかりに
高齢者の自動車事故による賠償責任―過失と責任能力を中心に
公的年金の逸失利益性
高齢者の事実婚
ドイツ非訟事件手続法における収容事件の審理
高齢者雇用と定年制―定年制法理の再検討
企業組織としての高齢者協同組合に関する一考察
高齢社会での住宅のあり方と建築規制