内容説明
「環境保全」と「現代の生活」…。震災後、日本でも注目を集める「再生可能エネルギー」を広く導入するには、何が課題となり、どのような方法が望ましいのか。「社会的受容性」や「持続可能性」などのキーワードを手がかりに、環境社会学などの知見と、日本や海外の先行事例を用いて検討する。
目次
第1章 再生可能エネルギーの可能性と課題
第2章 マクロな社会的合理性を実現する方法
第3章 ローカルな社会的受容性を考える
第4章 第一産業としての再生可能エネルギー事業
第5章 持続可能な地域づくりのためのコミュニティパワー
第6章 地域所有を進める社会の仕組み
終章 自然システムへの再適合と再生可能エネルギー利用
著者等紹介
丸山康司[マルヤマヤスシ]
名古屋大学大学院環境学研究科准教授。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は環境社会学、環境倫理、科学技術社会論。環境保全に伴う利害の齟齬や合意形成に関する研究テーマに関わっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sk
5
再生可能エネルギーの社会的な課題を検討。重要な研究だ。2024/05/01
O. M.
1
再生可能エネルギーの社会的意義・位置づけについて考察した論文。論じられるのは、例えば、マクロレベルで国全体の長期エネルギー需給に対する意義、またミクロレベルで受入自治体にとってどのような正負の波及効果があるか、またその影響に対する対策・合意形成方法など。結論として、多様な住民ニーズに対応するための柔軟な政策・事業枠組み設計が必要という主張です。今日非常に重要で意義深いテーマですが、説明のために取り上げている地域の事例が狭く、踏み込み不足を感じます。また文章が硬くて一般には読みづらいと思います。2015/04/05
Sandholm
0
再生可能エネルギーの導入の上での問題は,技術の問題というよりも費用負担を含めた様々な課題を踏まえた社会的な意思決定にある. 社会的合理性には大きく2つのスケールが考えられる.1つ目に国家スケールでは,社会政策としての公共的な意味から考える合理性と,市場における経済評価としての合理性がある.例えば固定価格買取制度の背景には,外部不経済(火力・原子力がもたらす悪影響)を市場メカニズムに取り入れるという発想がある.2つ目に地域スケールは,騒音,生態系への影響といった立地地域における経済・環境面での合理性である.2017/12/11
みー
0
ドイツのザクセン=アンハルト州のダーデスハイムでは、風力発電だけで村の需要の40倍の電力を発電しており、その他にも太陽光やバイオマスの発電所がある。チェルノブイリ原発事故をきっかけに反原発の動き多い。だい2章の固定買い取り制度を生み出したのはドイツ。電力会社は再生可能エネルギーを利用する事業所からの送電線を受け入れ、発電された電気をすべて買い取る義務がある。これだけだと電力会社の負担が大きいため、差額を消費者の電気料金に転嫁している。2024/07/22