内容説明
規制緩和の代表例である米国航空輸送産業は競争制限型政策から大きく変容し「自由競争」が導入されたが、日本では規制緩和の名の下に「管理された競争」が進められた。政策の変容を規定する要因は何か。政策科学の分析枠組みを提示するとともに、日米の政策変容過程の分析から明らかにする。
目次
序章 問題の所在
第1章 分析の枠組み
第2章 米国航空輸送産業における規制改革過程
第3章 わが国の航空輸送産業における規制改革過程
第4章 政策変容の規定要因―なぜわが国の航空規制改革は遅れたか
終章 本研究の含意
著者等紹介
秋吉貴雄[アキヨシタカオ]
熊本大学大学院社会文化科学研究科助教授。1971年1月大分県に生まれる。1994年3月一橋大学商学部経営学科卒業。2000年3月一橋大学大学院商学研究科博士後期課程単位取得退学。2000年4月熊本大学法学部助教授。2002年4月熊本大学大学院社会文化科学研究科へ配置換え。2005年3月一橋大学博士(商学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かみゅ
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筆者は宮川公男先生の弟子。制度論を補完する形でのアイディア・アプローチを紹介し、60-70年代の日米の航空規制緩和の政策過程を比較する。日米の規制緩和が異なったのは、米国からの規制緩和のアイディアが種々の理由により変容した結果であり、そのために日本の規制緩和は不十分なものとなったという。若干冗長な感は否めないが、アクターの認識的要因に着目するアプローチは、実証主義が取り零した価値の側面を掬い上げようとする努力の一環であり、非常に面白い。一見合理的な説明が困難に思える政治の世界をも説明できる可能性を秘めるが2015/10/30