内容説明
1930年代、世界が同時不況に苦しむなか、日本は高橋是清蔵相のもと、いち早くフィスカル・ポリシーに踏み切り、景気回復を遂げた。日銀による国債引受が積極財政を支えたが、その後、軍部の予算増額要求を前に、大蔵省は財政の健全化をめぐって苦闘することになる。大蔵省・日銀などの一次資料を駆使して高橋財政期の政策決定過程を解明し、財政史分析に新たな方法を提示する。歴史分析から現代の財政課題への重要なインプリケーションを汲み取る意欲作。
目次
序章 財政史研究の新たな方法を求めて―本書の分析視角と問題提起
第1章 新規国債の日銀引受発行制度をめぐる大蔵省・日本銀行の制度設計
第2章 時局匡救事業期における新たな予算統制の展開
第3章 租税制度の現代化をめぐる大蔵省構想とその挫折
第4章 後期高橋財政への転換と財政の「健全化」
第5章 高橋財政とニューディール財政
終章 高橋財政における大蔵省統制の意義
著者等紹介
井手英策[イデエイサク]
1972年福岡県久留米市に生まれる。1995年東京大学経済学部卒業。2000年東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。日本銀行金融研究所客員研究生、東北学院大学経済学部助手、専任講師を経て、横浜国立大学大学院国際社会科学研究科助教授。受賞歴:2002年第2回日本地方財政学会佐藤賞(論文の部)、2006年第15回租税資料館賞(論文の部)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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