内容説明
貿易政策を政治学の観点から分析する。なぜ各国は高度な貿易自由化を追求するのか。その進め方に違いが見られるのはなぜか。アジア太平洋地域の主要国を取り上げ、経済的利益以外の要因にも留意して、説明する。
目次
FTA・TPPの政治学
第1部 分析視角(経済的要因と安全保障・社会保障要因―分析視角(1)
対外経済政策と国内社会保障―分析視角(2))
第2部 主要国のFTA・TPP政策(日本―安全保障の期待と社会不安;アメリカ―自由貿易への支持低下と党派対立;中国―FTA政策の戦略性;韓国―自由貿易主義への転換;オーストラリア―経済的利益と地域経済秩序の追求;ASEAN―自己変革と中心性の模索)
第3部 2国間関係―バッファー・システムの変化(日米関係―アメリカの政策機構における均衡化;日中関係―派閥政治の変容と対外政策;日韓関係―非対称的な相互補完から対称的な競合へ)
著者等紹介
大矢根聡[オオヤネサトシ]
神戸大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(政治学)。現在、同志社大学法学部教授、アジア太平洋研究所上席研究員(国際関係論、国際政治経済学)
大西裕[オオニシユタカ]
京都大学大学院法学研究科博士後期課程中途退学。博士(法学)。現在、神戸大学大学院法学研究科教授、アジア太平洋研究所上席研究員(行政学、公共政策論、アジア政治経済)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KJ.O
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TPPは日米双方において政治問題化した。TPPは多国間の広域FTAで、締約国間の貿易を自由化し、国内制度の相互調整にも踏み込むことにより国民経済的には相互の経済的利益を拡大する。ただし、国内の全ての産業や企業に対し平等に利益を配分することは当然出来ない。本来、国内の利害対立は、各締約国内で調整すべきものだ。広域FTAは、安定した地域的・国際的な秩序を期待出来る安全保障上のメリットも期待出来るのに、次期米大統領はTPPを離脱すると表明した。本来、自分の役割と責任である国内利害の調整を放棄したように見える。2016/11/23