内容説明
厳しさが増す財政状況の下、多様な主体間の連携や協働によって、地域の諸課題を解決し、公共サービスを提供しようとする「ローカル・ガバナンス」という概念が注目を集めている。この概念を長期的な視点からとらえなおし、北陸地方、特に働きやすく、暮らしやすい県として注目を集める福井県の事例から分析。第1部では理論的・歴史的な側面から、第2部では北陸地方や福井県を舞台に、ローカル・ガバナンス概念の歴史や現状を探る。第3部では、福井県の中でも特に嶺南地域に注目し、県と地域のローカル・ガバナンスを検討する。
目次
ローカルからの再出発
第1部 ローカル・ガバナンス再考(ローカル・ガバナンスを問い直す―近代日本の「地方自治」再考;地方治態の3要素―住民・区域・自治体;連邦・自治・デモクラシー―憲法学の観点から;多機関連携としてのローカル・ガバナンス―就労支援行政における可能性;大都市をめぐる2つのガバナンス―大都市制度改革の困難)
第2部 福井・北陸ガバナンスの歴史と今日(近代日本のローカル・ガバナンス―負担と受益の均衡を求めて;北陸の豊かさはどこから来るのか―越中富山に見る「北陸性」;広域コミュニティの終わりなき物語を求めて―福井県、知事、ガバナンス;現代的知事の誕生?―西川一誠福井県知事を事例に;県庁内のガバナンス変容と持続―マニフェスト導入による政治時間の規律づけ;公と私の新たな境界線―要介護認定の政策実施業務を素材に)
第3部 県と地域―嶺南からの視点(地方議会と地域住民自治組織―福井県嶺南地域における基礎自治体の議会を中心に;原発立地自治体の財政比較―福井県敦賀市・美浜町・高浜町・おおい町を事例に;港から原発へ―“ロカロカ”敦賀のガバナンス)
著者等紹介
宇野重規[ウノシゲキ]
1967年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。現在、東京大学社会科学研究所教授(政治思想史、政治哲学)
五百旗頭薫[イオキベカオル]
1974年生まれ。東京大学法学部卒。博士(法学)。現在、東京大学大学院法学政治学研究科教授(日本政治外交史)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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