内容説明
昭和初年にひとたび成立した政党内閣制は、なぜ崩壊したのか。政党内閣制に支えられた戦前日本の政党政治はなおも発展の途上にあり、崩壊に際しても、政党内閣制を前提に、より改善された政党政治への復帰を模索しながら、時間をかけて失われていった。政党内閣制が成立し、男子普通選挙制と二大政党制によって補完された一九二七年の田中義一内閣成立から、三二年の斎藤実内閣成立による一時的中断を経て、しくみの復原可能性が失われ結果として崩壊にいたる三六年の二・二六事件までの、政治過程を明らかにするとともに原因を分析・考察し、その現代的意義を考える。
目次
序論 政党内閣制成立後の日本政治
第1章 田中政友会内閣と二大政党伯仲下の男子普選議会―政党中心政治の模索と試金石としての中国問題(一九二七~二九年)
第2章 浜口民政党内閣と世界大恐慌下のロンドン海軍軍縮条約―政党中心政治の復原力と統治能力(一九二九~三一年)
第3章 一九三二年憲政危機と政党内閣制の中断―内外非常時下の「常道」からの逸脱(一九三一~三二年)
第4章 斎藤内閣と政友会―非常時暫定内閣という賭とその再現(一九三二~三四年)
第5章 一九三六年憲政危機と政党内閣制の崩壊―第二暫定内閣の失敗と「常道」の喪失(一九三四~三六年)
結論 第一次世界大戦後の政治改革とその遺産
著者等紹介
村井良太[ムライリョウタ]
1972年香川県に生まれる。1995年神戸大学法学部卒業。2002年神戸大学大学院法学研究科博士課程修了、日本学術振興会特別研究員、駒澤大学法学部講師、同准教授を経て、現職。その間、ハーバード大学ライシャワー日本研究所客員研究員。現在、駒澤大学法学部教授、博士(政治学)。専攻、日本政治史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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バルジ
Naoya Sugitani