内容説明
わかりたいのに、わからない、歯がゆい、くやしい―誰もがきっと抱いたことのある、このシンプルな思いに応えたい。法哲学を学ぶ面白さを伝えたい。本書はただ、そのためだけに書かれました。「そうか!」という、あの知的高揚感は、自分自身で徹底的に考えたときにしか生まれない。そのために、本書は書かれました。
目次
第1部 正義論(功利主義;正義;自由;平等;権利;正義論の最前線)
第2部 法概念論(ルールとしての法;法の価値;法の権威;解釈としての法;批判理論;遵法義務)
著者等紹介
瀧川裕英[タキカワヒロヒデ]
立教大学法学部教授。1970年生まれ。1993年東京大学法学部卒業
宇佐美誠[ウサミマコト]
京都大学大学院地球環境学堂教授。1966年生まれ。1989年名古屋大学法学部卒業
大屋雄裕[オオヤタケヒロ]
名古屋大学大学院法学研究科教授。1974年生まれ。1997年東京大学法学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゃん
21
どこまで理解できたかはさておき、何とか最初から最後まで読み通しました。主に英米系の法哲学において何が語られ、どのような論争が展開されてきたのかが見えたような気がします。これから法哲学の世界に分け入るためのいい地図を手に入れたような感じかと。今後、本書で示された参考文献を少しずつ読んでみて、再び本書に戻ってこようと思います。2017/08/17
ヤギ郎
10
法哲学の教科書。とても読みやすい。前半は政治哲学について。近年の哲学的論争にもフォローしているので,初学者のみならず一般も読んでほしい。後半の法理論について,図表を交えて丁寧に解説しているのですごく助かる。本書に掲載されている図を覚えると今後の勉強に役に立ちそう。2018/08/15
うえ
9
現代の法哲学についてとにかく分かりやすく概説。ロールズの正義論におけるマキシミンルールをハーサニが如何に批判したか、リバタリアンが正義論の批判からどう展開したか等々。ロールズに対する批判の、ノージックは①生まれつき持っている能力は誰かを犠牲にして得たものではないのでその人の正当な所有物②素質があっても努力しなかったために才能が開花しない人がいるように利益を得るためには本人の自己決定や労働が必要、という所は鋭い。他に、多文化主義は民族・文化の独自性を守るため強制措置を正当化する側面を持つという指摘も強力。2020/03/20
まさにい
8
平易ではあるが程度は落としておらず。ただ、腑に落とすには難しい。そこで、自分で考える必要がある。この本を読んで、どうも西洋法哲学はキリスト教的一神教の呪縛から中々逃れられていないような気がする。また、法実証主義から新自然法に揺り戻しがあったのがナチスのせいでもあるし、ハートの理論もアメリカのベトナム戦争に端を発していることも面白い。僕は憲法13条の個人の尊厳とは何かを考えたくて法哲学の本に救いを求めていいるのだが、少しづつ考えが固まってきたようにも思える。もう一冊何か読んでみようと思う。2021/03/07
kousan
4
再読。分かりやすい。のでしばしば再読します。