内容説明
地域的にも文化的にも多様な「中国」を捉えようとする。従来の、「国家」形成等を通して語られる中国史は、単一的な中国像を描くにとどまっていた。グローバリゼーションの中で変化を促す源である「周辺」のダイナミズムから、新たな中国史理解を生み出す。
目次
第1部 中国史の広がりとその周縁(漢字世界の拡大と「中華」意識;私たちの歴史としての「中国」―『古事記』『日本書紀』が成り立たせる「中国」;中華世界の変貌―「小中国」から「大中国」へ;朝鮮史から見た明清中国;ベトナム史から見た中国近現代史;中国史に見る周辺化の契機と展開―方法・制度・政策)
第2部 テーマで捉える中国の社会と文化(歴史意識と世界像―「南越」の歴史は中国史かそれともベトナム史か;東アジアの亀趺碑;儒教とその真理性;都市と農村;女性史の視点;華僑・華人―もうひとつの「中国」史;環境と治水の歴史―中国を制するもの、水を制すべし;「統」への欲望を断ち切るために―中国史の書き方と読み方)
著者等紹介
濱下武志[ハマシタタケシ]
静岡県立大学グローバル地域センター副センター長・特任教授、東京大学名誉教授
平勢隆郎[ヒラセタカオ]
東京大学東洋文化研究所教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さとうしん
3
これも副題と主題が転倒している例か。一般に朝貢する側に極めて有利とされる朝貢貿易も、清と朝鮮との朝貢貿易に関しては朝鮮側の負担が大きかったとか、ベトナム(鉞南)国号成立の過程とか、個別のトピックにはやはり参考になるものがある。2015/04/13
いとう・しんご singoito2
2
A.Gフランクの「リオリエント」に濱下さんの引証が多くあったので、図書館から借りてきました。世界システム論的な視点からの中国及び周辺諸国史の考察。通史を期待するとガッカリかもしれないけれど、1872年にウラジオスト~長崎~上海~香港の海底電信線が開通したというようなオモシロ話があったり、黄河治水と環境保護の話や音楽と暦に関わるピタゴラス学派と並行するような話があったり、僕的には面白かった。図版も多いし、素人に優しい編集になっています。2021/05/18
spanasu
1
副題がすべて。グローバルヒストリーの考えから「西洋の衝撃」は大きな影響をもたなかったとした清代の章や、華僑華人の章は良かった。儒教の数理性の章は、何が言いたいのか、何故この本に収容されているのか、全く理解できなかった。2019/02/04
田中AD
0
近現代史を学んでいるから、東アジアの関係はどうかと思って読んだがページが少なく知りたいことが知れず不満だった。これはブックガイドでやるしかない。2018/04/28