万葉集全注〈巻第9〉

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  • サイズ A5判/ページ数 281p/高さ 23cm
  • 商品コード 9784641071391
  • NDC分類 911.124
  • Cコード C3392

出版社内容情報

巻第九は萬葉集全二十巻の中で,唯一,雑歌・相聞・挽歌の三大部立が揃ってあり,しかもそれ以 外の部立が存在しない巻である。長歌22首,短歌125首,旋頭歌1首の計148首を収録。柿本人麻 呂歌集と高橋虫麻呂歌集とを二本の柱として「旅」に関した歌を収める。

◆一千年の歴史をもつ萬葉研究の本流である訓詁注釈の伝統の上に,現代萬葉学の特色――歴史,風土,民俗,宗教など隣接諸学との多様な交流――を活かした新しい内容の滋味溢れる注釈。
◆本文は「原文よみ下し」と「口語訳」とを大きな活字で上下二段に対照,歌のもつ声調をいきいきと味わえるように配慮した。
◆解説は〔注〕と〔考〕の二部に分け,精緻な語釈をほどこす〔注〕に対し,〔考〕の部では作歌の動機 やその社会的背景を描くと共に,歴史に生きる作者の姿を再現するようにつとめた。研究者,学生 にとって絶好の手引きであるばかりでなく,一般愛好者の心の糧ともなるであろう。

内容説明

巻九は、雑歌・相聞・挽歌の三大部立のみから成る唯一の歌巻。柿本人麻呂歌集と高橋虫麻呂歌集を主軸に旅の歌を多く収める。人麻呂の歌は伸びやかにリラックスして旅の情趣を楽しむ佳品が多く、虫麻呂は長歌を以て桜花爛漫の景観、秋風落莫の好景を歌い、渾身の力を込めて伝説の主人公を躍動させる。異色の一巻である。

目次

雑歌(泊瀬の朝倉の宮に御宇めしし大泊瀬幼武天皇の御製歌一首(一六六四)
岡本の宮に御宇めしし天皇紀伊国に幸す時の歌二首(一六六五・一六六六)
大宝元年辛丑の冬十月、太上天皇大行天皇紀伊国に幸す時の歌十三首(一六六七~一六七九) ほか)
相聞(振田向宿祢の筑紫国に退る時の歌一首(一七六六)
抜気大首の筑紫に任けらえし時に、豊前国の娘子紐児を娶きて作る三首(一七六七~一七六九)
大神大夫、長門守に任けらえし時に、三輪の川辺に集ひて宴する歌二首(一七七〇、一七七一) ほか)
挽歌(宇治若郎子の宮所の歌一首(一七九五)
紀伊国にして作る歌四首(一七六九~一七九九)
足柄の坂を過ぐるに死人を見て作る歌一首(一八〇〇) ほか)

著者等紹介

金井清一[カナイセイイチ]
1931年埼玉県に生まれる。1957年東京大学文学部卒業。現在、京都産業大学名誉教授
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