内容説明
わが国における死刑廃止運動の精神的支柱となっている名著。この第六版では、「死刑囚の処遇」の項を新たに追加するなど、全面的に改訂を加えた。21世紀に向けての著者の真摯なメッセージ。
目次
第1部 死刑廃止を訴える(死刑廃止を訴える;重ねて死刑廃止を訴える;状況の流動化―改めて死刑廃止を訴える ほか)
第2部 死刑廃止を考える(議論の原点;誤判の構造;殺人罪と死刑―「目には目を」の問題 ほか)
第3部 死刑についての二,三の省察
第4部 資料(死刑廃止国;死刑に関する統計)
第5部 Toward the Abolition of the Death Penalty
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- 評価
稲岡慶郎の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
山像
3
思想の核は「誤判の可能性がある限り死刑は絶対に是認できない」というもので、最高裁時代の極めて個人的な体験に依拠している分、穿って見れば結論ありきで論を立てているように読める箇所もある。例えば「無期懲役の誤判と死刑の誤判では取り返しのつかなさの質が全く異なる」という論などは、私自身法学的な論法に詳しくない所為もあるが、説得的には全く思えなかった。挙句「それでも死刑を是認する人の人間的センスを疑う」等と、理性的な問題意識の立て方を否定されては、「この人の目的は存置派の説得ではないのか?」と思ってしまう。2013/08/02
RINA@愉しみたい冬そして年末年始
3
団藤先生の唱える死刑廃止論と現在声高く叫ばれている死刑存続論との間には、今でも大きな隔たりというか、いつまで経っても決して交わることのない「永遠の平行線」があるような気がしてならない。結局未だに議論され解決してない辺りに、「死刑」というものの扱いの難しさがあるように思う。団藤先生のご冥福を心よりお祈り致します。2012/06/26
あああ
2
実は再読。あまり故人をあれこれ言いたくないけど、一般人に分かりやすくするためなのか、それとも年なのか・・・戦後の刑法学をリードしてきた人の本にしては宗教観や感情論の話がちょくちょく出てきている点が気になった。とはいえ、参考になる点も多々あったのも事実。2015/06/02
tyama
1
やはり死刑廃止には賛成できない。制度を残して死刑に相当する犯罪が発生せず、結果として死刑が執行されていないのが理想ではないか。個人の尊厳を損なったという殺人という罪にはどのような罰が相応するのか。個人には無限の可能性がある、端的には更正の可能性を念頭に置くものと思うが、未来に向けての再発防止だけでなく過去自らが犯した殺人という罪を真正面から捉えたとしたら、死刑にされない殺人者は究極的には精神を病むしか道がないと考える。国家の死刑執行は個人の正当防衛の代行と構成しうるのでは。2012/10/30
lawawayer
1
死刑についての考え方は,人それぞれだと思う。自分と違う意見に出会ったときに,おもわず違う意見を突っぱねてしまうこともある。弾道先生の考え方は私の考え方と異なっていたが,「なるほど」と頷かざるを得ないものであった。2012/04/14
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