内容説明
〈家〉も〈恋〉も〈事業〉も失敗しそれを作品化した泡鳴を時代の閉塞感の文脈の中に立たしめ、一方で虚構として作品を読み解くことで従来の泡鳴像の変革を図る力作研究。
目次
1 作家 岩野泡鳴(岩野泡鳴の認識と思想―作家泡鳴の誕生;岩野泡鳴の詩想―詩から小説への転回;小説成立への一考察―奇怪なものと魔的なもの;小説文体の確立―方法としての象徴;岩野泡鳴における有情滑稽―霊肉合致をめぐって)
2 泡鳴の作品(第一詩集『露じも』のもつ意味;「耽溺」の構想;「発展」の構図;「毒薬を飲む女」と新しい女;「放浪」の世界;「断橋」成立と創作主体;「憑き物」雪の幻影)
3 閉塞下の青年像の系譜(川上眉山「大さかづき」の青年像―時代閉塞と米国移民;石川啄木「時代閉塞の現状」の青年像―内からの目、外からの目)