内容説明
一人の文学少女がいかにして作家となったのか―。林芙美子の作家として、人間としての形成の軌跡を、残された作品を読み解くことによってたどる。「放浪記」から「めし」まで、林芙美子を読み解く充実の作品論。
目次
1 詩の世界
2 詩から小説へ―「山裾」
3 生と性―「放浪記」
4 慎重な助走―「清貧の書」ほか
5 小説作法の会得―「牡蠣」ほか
6 垣の内と外―「野麦の唄」
7 長編へ―「稲妻」
8 戦争をとらえて―「戦線」ほか
9 基調としての虚無―「河沙魚」ほか
10 ネガティブな肉体文学―「晩菊」
11 実験小説―「茶色の眼」
12 狂気の表現―「夜猿」ほか
13 虚無から贖罪へ―「浮雲」
14 未完の大作―「めし」