内容説明
後期漱石文学の人間観・世界観をさぐる。漱石文学の、人間存在を意識としてとらえる文学観はどのようにして生まれたのか。漱石のW・ジェームズとの出会いから、ジェームズの理論の影響を受けながら、漱石独自の文学世界を創り出していく過程を実証的にたどった意欲的論文集。
目次
第1章 漱石におけるウィリアム・ジェームズの受容について(1)―「坑夫」の周辺をめぐって
第2章 漱石におけるウィリアム・ジェームズの受容について(2)―「意識の選択作用」の説をめぐって
第3章 「坑夫」論
第4章 「森の女」と「迷羊」―『三四郎』論その1
第5章 オフェリヤとフェリシタス―『三四郎』論その2
第6章 美禰子の愛―『三四郎』論その3
補説 『三四郎』というテクスト
第7章 『彼岸過迄』論の手がかりとして
第8章 『こころ』論―先生の死をめぐって