内容説明
物部氏の起源・職掌・性格などを追究し、日本古代史研究に横たわるウヂ・カバネ・部の問題にせまる!稲荷山古墳出土鉄剣銘文とウヂ、雄略期の支配組織の構造、継体期と「連」のカバネの成立、「物部」という呼称、部としての物部の分布範囲、物部の祖先伝承にみられる系譜の同祖構造、物部氏の系譜にみるウヂの実態、政治史と物部氏の衰退、石上麻呂と物部氏の伝承など、これまでの研究史を整理し、最新の研究成果も盛り込んで考察する。
目次
序章 研究史の概要と研究の課題
第1章 物部氏の成立とその性格(稲荷山古墳出土鉄剣銘文とウヂ;「連」のカバネの成立;「物部」の呼称の成立;物部氏の性格)
第2章 物部氏の祖先伝承(ニギハヤヒの伝承;オホヘソキとイカガシコヲの伝承;石上神宮神宝伝承とトチネ;物部大連目の伝承)
第3章 物部氏の盛衰(物部氏の台頭;物部氏の衰退;物部氏の復興と石上麻呂;物部氏の後裔)
著者等紹介
篠川賢[シノカワケン]
1950年神奈川県に生まれる。1981年北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。1997年博士(文学)(北海道大学)。現在、成城大学文芸学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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terve
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日本古代氏族研究叢書の嚆矢となった本。物部氏といえば、排仏派として蘇我氏に滅ぼされたイメージですが、実際は保守的性格を持っておらず、権力争いで敗北したという説が有力です。天武朝で物部氏が登用されていますが、従来のイメージを覆すまでには至らなかったのは興味深い話ですね。また、ニギハヤヒは『日本書紀』編集段階で設定された始祖ならば、豪族であり得ることを天皇家で行わないことがあろうかという点に言及できる気もします。是非とも継体朝や河内王朝、葛城王朝などの現況を知りたいです。このシリーズが完結することを願います。2019/08/01