内容説明
宮中で生活する女性たちにより使用された特殊な言語「御所ことば」。その歴史から語彙まで精緻な研究を重ね、現代まで残る上流階級の生活や文化などを分かりやすく解説した名著の復刊。
目次
第1章 御所ことばについて(御所ことばの歴史;御所ことばの現用)
第2章 御所ことばの生活(高級女官の談話;年始・年末の口上;大聖寺門跡の年中行事;御所の手紙)
第3章 御所ことばの歴史的文献(有職故実書;御所ことば語彙集;辞書;婦人教養書;日記;御所ことば批判書)
第4章 御所ことば語彙集(分類御所ことば語彙集;御所ことば語彙集五十音順索引;御所ことば研究文献目録)
著者等紹介
井之口有一[イノクチユウイチ]
1906‐1995。早稲田大学高等師範部卒業、東京高等師範学校研究科修了、文部省国語調査官補、岐阜師範学校教授、京都府立大学女子短期大学教授を経て名誉教授、聖母女学院短期大学教授を歴任
堀井令以知[ホリイレイイチ]
1925‐。京都大学文学部(言語学専攻)卒業、京都大学旧制大学院特別研究生修了、愛知大学文学部教授、南山大学文学部教授を経て、関西外国語大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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井月 奎(いづき けい)
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言葉は成長もしますし、退化もします。人と同じで美しくも醜くもなります。そこまでは私も分かっていました。けれども、私の理解は、時間によってのことのみに目を向けていたのだと知りました。やんごとなきお方たちと私達、民草の間には昔から言葉の相互利用の関係があり、お水をお冷と言うのは御所言葉だそうで、市井の民が気取り、すこしの自嘲を込めての遊び心から使うようになったのでしょう。逆もありまして、葱をねぶかと呼ぶのはそれだと思います。相互に関係しあいつつ、利用しつつも各々に形がある。それは豊かなことだと思うのです。2016/12/05